三陸の牡蠣むき子とオイスターバー店員が激突 「牡蠣の早むき選手権」開催
牡蠣をむく早さを競い合う参加者=13日、宮城県名取市(中野宏一撮影)
牡蠣を殻からむく速さと美しさを競う牡蠣の早むき選手権「ジャパン オイスターフェスティバル2015」の東日本予選が13日、宮城県名取市で開催された。20日に開催される全国大会で優勝すると、アイルランドでの「牡蠣むき世界大会」に出場できる。今回の東日本予選には、東京のオイスターバー店員から三陸の牡蠣生産者までさまざまな出場者が集まり、熱戦を繰り広げた。
牡蠣むき歴45年のベテランも出場
牡蠣の早むき選手権は、生牡蠣30個を剥くスピードだけでなく、きちんと貝柱が切れているかなど、むかれた牡蠣や盛り付けの美しさを総合的に評価し、参加者が順位を競い合うイベントだ。2012年東京で初開催され、2013年からは広島県もイベントの開催地に加わった。4回目の今年から新たに宮城県で東日本予選が開催されることとなった。 宮城県名取市にあるイオンモール名取で開催された東日本予選には「毎日牡蠣をむいている」というオイスターバー店員から、牡蠣養殖業の「むき子」として長年牡蠣をむいてきたベテランまでさまざまな経歴の出場者12名が出場した。中には、当日エントリーして今回初めて牡蠣をむく出場者もいた。牡蠣は、宮城県女川町産の真牡蠣が使用された。 牡蠣はむいた後に殻に乗せるルールで、店で殻付き牡蠣を提供しているオイスターバー店員に対し、普段むいた殻は捨てている三陸の牡蠣むき職人は苦戦。宮城県石巻市の牡蠣養殖業で、牡蠣むき歴45年という三浦勝さん(59)は、「普段は速くむくより、きれいにむくようにしているから、なかなか慣れずに難しかった」と語った。3位に入賞した茨城県水戸市のオイスターバー店員の福嶋歩さん(26)は「緊張して普段店でむく時ほど速くはむけなかった」と語った。
女川町の牡蠣養殖業出身の女性が優勝
優勝したのは、実家が宮城県女川町の牡蠣養殖業で仙台市在住の主婦・草貴子さん(55)。多くのオイスターバー店員を差し置き、4分14秒で優勝した。むいた牡蠣の美しさも評価のポイントだった。女川町の草さんの実家は、東日本大震災で被災して牡蠣の養殖をやめたため、牡蠣をむくのは約5年ぶりだったが、幼い頃より牡蠣をむいて培った腕は衰えていなかった。草さんは「まさか優勝するとは思いませんでした。全国大会は楽しんでやりたい」と、抱負を述べた。