鶏ハツは弱った「心」の働きを補い心臓トラブルの改善につながる【健康長寿に役立つ高齢薬膳】
【健康長寿に役立つ高齢薬膳】鶏ハツ 最近、胸が痛んだり、息苦しい。それなのに、検査をしてもとくに心臓に異常はない……。心臓の機能に問題がないのに、胸痛、動悸、息切れといった症状が現れる「心臓神経症」。原因はストレスや過労などで、心臓の働きを活発にする交感神経が刺激されることによって起きるとされています。一般的な心臓病の場合、動いたり、興奮したときに症状が起きやすいのですが、心臓神経症の場合は、安静時でも現れるのが大きな特徴です。 サバ+αで元気に暮らす(4)セロリと合わせて気の巡りを促進しメンタルヘルスを改善 症状は左胸のごく一部に限られ、ズキズキ、チクチクした刺すような痛みがあり、手で押さえると痛みが増す傾向もあります。痛む時間は、心臓病発作の場合は15分程度で落ち着きますが、心臓神経症では1日中続くケースもあります。 精神面の問題のため、命に関わることはありませんが、症状が続くと不安が増し、悪化してしまうこともあるので早めの改善が必要です。 中医学では、心臓神経症は「心」と呼ばれる臓器の働きの低下が関連していると考えます。また、動悸も心の弱りが原因と考えます。心は血脈と血液循環機能をつかさどる臓器です。血を押し出し、全身に行き渡らせる働きをしています。この機能が低下すると、狭心症、心筋梗塞、不整脈といったトラブルを引き起こします。 ただし、心の弱りは心臓病に至らなくても動悸、息切れ、胸痛といった症状を引き起こすとともに、「精神面」にも大きく影響を与えます。中医学では心は意識や思考、感情などの精神活動もつかさどる臓器と考えます。脳の働きは心との関係が深いとされているため、心が弱ると不安感、落ち込みやすい、無気力といったトラブルが現れるのです。ですから、心を養うことは、精神面から現れる心臓のトラブルの改善につながるのです。 心の働きを高めるためにおすすめの食材は鶏ハツ(心臓)。中医学の考え方では「同物同治」といって、身体の弱りは同じ臓器で補うとよい、としています。鶏ハツ=心臓は、弱った心の働きを補う効果が高いのです。不眠、うつ、不安感、落ち込みの改善にも役立ちます。ほかに血を補う働きもあり、貧血、めまい、立ちくらみにもよく、脳機能を高める働きもあります。 鶏ハツの心臓神経症改善効果を高めるには、同じく心の働きを高めるレンコン、卵、ブドウなどを組み合わせるとよいでしょう。 ■鶏ハツ高齢薬膳レシピ 鶏ハツとレンコンのバルサミコ醤油煮 心の働きを高める鶏ハツとレンコン、ブドウを組み合わせたレシピ。しょうゆ、赤ワイン、バルサミコ酢、レーズンの甘酸っぱいソースがしみ込んだ、鶏ハツもレンコンもクセになる美味しさです。粒マスタードをそえても美味しくいただけます。 【材料】2人分 ●鶏ハツ 250g ●レンコン 150g ●レーズン 大さじ2 ●A(赤ワイン=大さじ3、しょうゆ=大さじ1、バルサミコ酢・みりん=大さじ1、にんにくのすりおろし・しょうがのすりおろし=各少々) ●クコの実 適量 【作り方】 鶏ハツは白い部分を切り取り、切り目を入れて血の塊を取り、流水で洗う。加熱したフライパンに入れ、乾煎りして水分が出たら、食べやすく切ったレンコンを入れて炒め合わせ、レーズン、Aを加えて汁けがなくなるまで煮る。器に盛り、クコの実を散らす。 (池田陽子/薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト)