定員5人、小さな保育園 県内初NPOの認可園、富山に7月
●隠れ待機児童、復帰人材の受け皿 富山短大卒業生でつくるNPO法人「リボンfromとやま」は7月1日、富山市向新庄町に富山県内初のNPOによる認可保育施設「すみりー新庄園」を開園する。保育園として最少規模となる5人を受け入れる「家庭的保育事業」の県内2例目で、保育の選択肢を広げる。希望する施設に入れない「隠れ待機児童」の受け皿とするとともに、保育人材の充実につなげる。 ●富山短大卒の20代保育士が中心 NPOは富山短大幼児教育学科准教授の明柴聰史さん(43)が代表理事を務め、同大を卒業した20~25歳の若手保育士15人が所属している。 こども家庭庁によると、昨年4月現在、県内では保育所の定員数3万2883人に対し、利用数は2万7142人で、待機児童はゼロとなっている。 ただ、明柴准教授は県内でも「希望の園に通えない」「きょうだいで別々の園に通わせるしかない」といった例があると指摘する。こうした家庭の希望に沿えないケースは「隠れ待機児童」として、全国的に問題となっている。 新庄園にはNPO所属の保育士のほか、地域の保育士と子育て支援員の計17人が登録する。保育士の中には、子育てなどで現役を離れて時間がたち、保育業界に戻るのをためらう「潜在保育士」もおり、小規模の特徴を生かし現場の感覚を取り戻すことで復帰を後押しする。選択的週休3日制を取り入れ、働きやすい環境も整える。 新庄園は向新庄町の貸事務所1階に延べ床面積75平方メートルの保育スペースを設置する。定員は0~2歳児の5人で、既に1歳児3人が入園予定となっている。平日は3人の保育士が常駐し、希望があれば土曜も開園する。NPOが行う居宅訪問型保育事業(ベビーシッター)でも子どもを預かる。登園の時間を決めず、家庭の都合に応じて柔軟に対応する。子どもの発達状況や生活リズムを尊重した子育てを行う。 明柴さんと保育士金谷大翔さん(25)、吉川綾香さん(21)が中心となって開園準備を進めている。園長の金谷さんは、市内の保育園に務めていた経験を生かし、一人一人と向き合う保育を実践しようと独立した。金谷さんは「子育てのパートナーとして親子に寄り添いたい」と話した。 ★家庭的保育事業 待機児童問題の解消や地域の保育需要の充実を目的に、児童福祉法で定められた保育事業の一環として、2010年にスタートした。保育士と子どもとの距離が近く、家庭的な雰囲気で、子ども一人一人に丁寧な保育を提供できるのが特徴。