松本穂香は”目”で語りかける俳優だ 『嘘解きレトリック』で発揮する“感情演技”の真髄
『ひよっこ』『この世界の片隅に』など、松本穂香の芝居に感じる“ピュアさ”
鈴鹿は松本について「松本さんは目からすごくいろんな感情や気持ちが伝わってくるなと感じています」と語っていた(※)。確かに、その通りだと納得した。猫との対話シーンや行方不明となったタロを一心不乱に探しに行くシーン、タロを見つけて安堵するシーン……そのどれもが感情が一気に切り替わる場面だ。“静”から“動”へと一気に感情が動いていくシーンでは、松本の豊かな表情が複雑な感情を伝えてくる。 朝ドラ『ひよっこ』(2017年前期/NHK総合)では、ヒロインの同僚でマイペースで食いしん坊なキャラクターという澄子を演じ、約3000人が受けたオーディションの中から主演に抜擢された映画『この世界の片隅に』では不安の中で前向きに日々を生き抜くすずを瑞々しいタッチで演じていた。自分を見失っていた主人公が次第に多様性を受け入れていく映画『おいしい家族』を見たときの衝撃は今でも忘れられない。ここまで良い表情を自然にできる俳優がいるのか、と。シリアスでもコケティッシュであっても、松本のスタンスは揺るがない。ただ、自然にそこで演じているだけである。それはピュアとも言い換えることができるだろう。 今回の見どころとしては、そんな松本を包み込むように演じる鈴鹿との化学反応である。第1話ではすれ違い気味なトークを繰り広げていただけに、この先どのようなバディになっていくのか非常に楽しみだ。 参照 ※ https://realsound.jp/movie/2024/09/post-1788849.html
川崎龍也