4点差逆転の首位ターン決定に楽天・梨田監督「神がかっている」
ソフトバンクと楽天の首位決戦が11日、ヤフオクドームで行われ、楽天が4点差を逆転、1試合を残して日本一となった2013年以来となる前半戦の首位ターンを決めた。残りゲーム数の差から「マイナス0.5ゲーム差」で、勝率で首位という珍現象が続いていたが、それも解消、0.5ゲーム差で首位に立った。 エースとチームリーダーをつなぐ“信頼”が勝たせた。 必勝を期して先発に立てた則本が“天王山”のプレッシャーに崩れる。上林の2ランなどで3回までに4失点。 「劣勢どころか、どうなることかと思った。則本が毎回失点するなんて見たことがない。でも耐えてくれた」 ベンチで梨田監督も気が気ではなかった。 「調子は悪くなかった。序盤4点取られましたけど、打線を信じて我慢強く投げました」 苦しんでいた則本は、5回に立ち直って、柳田、内川、デスパイネを三者連続三振。このワン、ツー、スリーが打線に火をつけた。 6回にペゲーロの19号ソロ。7回には、ペゲーロの一塁への内野ゴロが内川の連携ミスを誘い、前の回に果敢に狙った本塁で憤死していたウィーラーがレフト線に同点の2点タイムリー。 8回には、セーフティースクイズのサインで、判断ミスの早合点で飛び出していた三塁走者の田中が強肩の甲斐に刺されるという手痛いミスもあり、勝ち越し機を逃していたが、チームの勢いは止まらない。 4-4で迎えた9回にソフトバンクの絶対的守護神サファテを攻略してみせたのだ。二死一、二塁で銀次は簡単に2ストライクに追い込まれたが、151キロのストレートを一閃。打球は一、二塁間を抜けた。 「100パーセント真っ直ぐだと思って、強い気持ちで打った。たまたまですが」 これが決勝点。サファテは今季初黒星である。 梨田監督は、「銀次はさすが。神がかっている。本人に聞いたことはないが、ガニマタにして重心を下げて構えている打法が結果につながっているんだろう」と、そのストレートに負けないガニマタ打法を絶賛した。 銀次はこの日、ファースト、セカンド、ファーストと3ポジションを守った。 「ほんとによくやってくれている」と梨田監督は、銀次のチーム貢献の姿をも称えた。 ここ2試合で6打点と絶好調の4番ウィーラーと、打率.326の5番銀次のクリーンナップは驚異的。2番にペゲーロを置く超攻撃的打線が注目を浴びてきたが、ここにきて4、5番の得点力がアップしてきたため、打線が2段階の爆発力を備えるようになっている。だから少々のミスなどに動じない。 これで首位ターンが決まったが、梨田監督は、「0-4から耐えて勝てたのは大きいね。前半戦首位? それは関係ない。とにかく明日という気持ち」と、岸を先発に立てる第2戦に気持ちを向けた。 ヒーローの銀次にも、浮かれた気分はない。 「まだまだ半分。もっともっと勝っていきたい。今日は早く休んでまた明日打ちたい」 一方のソフトバンクは、中継ぎエースの五十嵐が、七回に投球の際、左太もも裏に異常を訴えてわずか2球で緊急降板。福岡市内の病院で診察を受けたが、左半腱半膜様筋損傷(肉離れ)と診断され、全治に8から12週間かかる見込みが示された。五十嵐の長期離脱は、逆転負けにさらに追い討ちをかけられるショッキングなニュースとなった。