三枝時代、文枝になってからの新作落語をそれぞれ味わえる『桂文枝 新春特撰落語会2025』
映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。 【水先案内人 山本益博のおススメ】 毎年正月恒例の桂文枝独演会。「新作落語」で桂文枝の存在は忘れてはならない。かつて、桂三枝時代、文化庁芸術祭の大衆演芸部門で、新作『ゴルフ夜明け前』が評価され、大賞に輝いた。これが後年「新作落語」が「古典落語」と並ぶようになったきっかけだったと言ってよい。今や、誰も「新作落語」「創作落語」を特別視しなくなった。 今年の趣向は、三枝時代の新作落語『妻の旅行』と『宿題』から一席、文枝になってからの新作落語『ロンググッドバイ-言葉は虹の彼方に』と『約束』から一席を、毎回高座にかける。 『妻の旅行』は古典落語『替わり目』を下敷きにした噺で、文枝得意のおかん(おばさん)たちのおしゃべりの展開のあと、ほんのりさせるところが、文枝の持ち味といったところ。『宿題』は、子供の宿題でめっきり威厳を失ったお父さんの悲哀がテーマだが、誰もが学校で教わった「鶴亀算」を、会社の京大出身の新入社員があっという間に解いてしまうところから、客席は抱腹絶倒となる。 桂文枝の作者としての創作能力の高さと、演者としての表現能力の緻密さが一緒に味わえる独演会と言えようか。 <公演情報> 『桂文枝 新春特撰落語会2025』 2025年1月11日(土) 12:00~ / 16:30~ 2025年1月12日(日) 11:00~ / 15:30~ 会場:東京・有楽町朝日ホール ※開場は各開演の30分前 【演目】 桂三枝 作 『宿題』『妻の旅行』 桂文枝 作 『ロンググッドバイー言葉は虹の彼方にー』『約束』 各回、三枝作1本、文枝作1本を口演予定 【チケット】(全席指定・税込) 前売:5,500円 当日:6,000円