「人気がないのがよく分からない」「人間の動作を超える」根っからの守護神、川島永嗣が伝えるもどかしさと奥深さ
今後プレーしてみたい国は?「ないですね」
川島は生まれ育った日本のほか、ベルギー、スコットランド、フランスでも活躍。「今後、プレーしてみたいリーグや国」を訊いてみると、「ないですね」と笑みを浮かべた後、これまた特殊なポジションならではのエピソードを披露してくれた。 ――◆――◆―― 自分が行った国に行けて良かったなと思っていることの方が多いです。やっぱり、ベルギーとスコットランドでサッカーの違いがありましたし、フランスでも全然違いました。違う国やチームでやれたことで、自分が学べたことは非常に大きかったです。この3つの国に行けたことで、自分のサッカー観がだいぶ変わりました。 簡単にスペインでやりたかったとか、プレミアでやりたかったって言葉は、自分の中ではあまり出てこないですね。キーパーで、外国人の立場になるわけですよ。 スペインはEU圏外の枠が3つしかないので、キーパーにヨーロッパ人以外の枠を使うってなかなかないんですよね。ヨーロッパの中でレベルが高いゴールキーパーがたくさんいるなかで、そこにまず勝たなきゃいけない。なおかつ、外国人枠に入らなきゃいけない。 だからちょっと、キーパーはやっぱり違いますよね。イタリアでも外国人枠は2だし。まずヨーロッパの高いレベルの中で競争があって、勝ち残っていかなければいけない。なおかつ、枠の問題があって。フランスも枠が限られていて、その枠を取りに行かなきゃいけないというところでは、簡単に「どこでやりたかったな」って、言葉としては出てこないかな。
長友佑都の日本代表復帰はどう見る?
川島がカタール・ワールドカップ後に「ここが一区切り」と線を引いた日本代表には、長友佑都がカムバック。37歳の元気印は合流初日からハッスル全開で、熱量不足が指摘されるチームに活力をもたらした。41歳の守護神は、同じベテランとして、長年共闘した盟友として、今回の復帰をどう見るのか。 また、以前『報道ステーション』で内田篤人氏からインタビューを受けた際にも、アジアカップでゴールを守った鈴木彩艶に触れていたなかで、改めて日本代表への向き合い方を説明。“第三者”として自身の考えを明確に示した。 ――◆――◆―― 多分、僕が若い選手だったら、なんでベテランが使われるんだとか、そう思っているはず。だから、若手はそういう選手が必要じゃないぐらい、もっとやればいい。 僕らは僕らで、年齢を重ねても高いレベルを求め続けなければ、日本代表もそうですし、Jリーグの舞台にも立つことはできないので。 それは、ベテランだろうが若手だろうがあまり変わらないと思う。佑都がもう1回代表に戻ってきたのも、年齢を考えて行動しているからというよりは、彼自身が高いレベルを求め続けているから、あの場所に戻っているんじゃないのかなと思います。 日本代表に対しては、今僕が言いたいことは何もないというか、今になって話をしたいとは思わないですし、する立場でもないと思う。 だから報道ステーションで言ったのは、別に日本代表だろうが、そうじゃなかろうが、高いレベルでサッカーをやれている時間は本当に貴重ということ。良いことばかりあるわけじゃない、良く感じない部分も含めて、やっぱりサッカーだし。高いレベルに行けば行くほど、犠牲が伴うのは当たり前なんですよ。 これは、アジアカップだけの話じゃなくて、Jリーグ、ヨーロッパでやる選手にも当てはまること。高いレベルでやっていることを噛みしめて、とにかくその瞬間を生きることが大切だという意味です。 ※このシリーズ了 取材・構成●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)