「青春18きっぷ」どんどん使いにくくなる 「3日か5日連続」でも夜行普通列車は消えビジホ満室
夜行長距離普通・快速列車は姿を消した
「青春18きっぷ」ができた当初は、各地に長距離を走る普通列車が残っていた。客車列車の場合もあった。 夜行の普通列車を使用すると、長距離を格安で移動することができるようになり、お得感は大きいものがあった。 特急や急行に使用されていた車両を改造した普通列車や、深夜帯を走る長距離夜行列車などが多く存在し、時間はかかるけど快適に長距離を移動できた。 JRになると、各地で夜行の座席指定快速列車が運行され、格安の座席指定券を買えば「青春18きっぷ」で乗ることが可能だった。「ムーンライト九州」など、「青春18きっぷ」の時期に合わせた快速列車もあった。 いまは、こういった列車はもうない。しかも、地方の普通列車は、運行区間が短くなっていった。 さらに、整備新幹線が各地に延伸したことにあわせて、並行在来線が第三セクター化された。きっぷの値段は変わらず、「ステルス値上げ」のような状態になった。 「青春18きっぷ」ができたときから、大きく事情が変わっていった。「昔は大垣行きの夜行列車などを利用したよなあ」と思い出す人も多いと思われる。そういう列車は「青春18きっぷ」の利用者にとって便利だった。
5日の連続した休みを取れるか
リニューアルした「青春18きっぷ」は、3日もしくは5日連続というしばりがある。これなら、せめて夜行の普通・快速列車があればと思うものの、いまはない。移動しながらホテルなどに泊まっていくしかない。2泊3日、もしくは4泊5日の旅となる。 シャワーのあるネットカフェなどに泊まり続ける、というのはあまりにもきつすぎる。格安のビジネスホテルは、いまは人気が高く、予約が取りにくい。コロナ禍終了後多くの人が各地に行くようになり、宿泊施設の確保が難しくなっている現状がある。かなり計画的に利用しなければならなくなっている。 3日ならともかく、5日の連続した休みを取れるか、という課題もある。 難題だ。 「青春18きっぷ」をめぐる状況は、変わり続けている。その上でどんどん使いにくくなっている。 「青春18きっぷ」の使い方を考えるのは、かなりの難問になってしまった。(小林拓矢) 筆者プロフィール こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。