そうめん商戦 市場は微増で推移 猛暑予報に期待高まる
そうめん商戦が最盛期を迎えた。昨年は播州や三輪など手延べ産地生産者が平均10%の価格改定に踏み切ったことにより、PB(プライベートブランド)や機械製そうめんなど単価が安い商品に人気が流れた。今年はその傾向に拍車がかかることが予想される一方、今夏の猛暑予報もあり天候が追い風となりそうだ。5月末までの市場は当社推定で、前年比微増で推移した。 そうめんは3~4月頃から店頭のエンドに並び始め、GWに第1のヤマ場を迎える。6~7月に1年間の4割以上を販売、盆明けには終息する。短期決戦となることから、最盛期の気温や天気が商戦を左右する。 今年3月は平年と比べて気温が低かったものの、4月は全国各地で平均気温が2.67℃高く、月末には30℃を超える真夏日となった。5月は雨も少なく、爽やかな天候が続いた。そうめん市場もこれに連動する形で商戦スタートは4月にずれ込んだところが多かったが、以降は比較的順調に推移している。 昨年実施した値上げは市場でほぼ受け入れられ、春は新値で出揃った。人件費がかかる手延べそうめんと機械製そうめんでは販売価格にますます差が開いたが、各産地は手延べにしかない風味や品質を訴求して差別化を図る。 速報値では、そうめん業界のメガブランド「揖保乃糸 上級品300g」(兵庫県手延素麺協同組合)の、昨年9月から今年5月末の出庫数量は前年比109%となった。昨年9月が月末まで残暑が続いたことで年度始まりがプラスとなり、翌2月までの上半期はオフシーズンながら102%で着地。3月は天候要因で厳しかったが、4月に復調、5月にプラスに転じた。ただし23年は価格改定の影響で減少したことから、22年対比では100%だった。 白もの志向が強い西日本で「揖保乃糸 上級品300g」と拮抗するマル勝高田商店は、3~4月は前年並みも5月はプラスになった。「三輪の神糸」はじめ単品商品が全般的に好調で、特に「同800g」の大容量サイズが大幅に増加した。同社では、地元三輪をはじめ手延べそうめん業界全体が生産者不足に陥るなか、生産時間の延長と効率化を高め、前年度に3割の増産を達成。今年も前年並みの水準で生産計画を立て、安定供給に努める。