アウディF1プロジェクト、再び将来に懸念? 推進派の幹部役員が解任との報から憶測広がる
ザウバーを買収し2026年からF1参戦を計画しているアウディ。しかし最近になり、その計画を不安視させる材料が浮上してきてしまった。 【ギャラリー】ザ・ヒストリー・オブ・ザウバー アウディによるF1参戦計画は、昨年もその計画が白紙撤回されるという憶測があった。それはザウバーの買収、そして独自のパワーユニット製造によるF1参戦計画を主導した人物である前CEO、マルクス・ドゥスマンが退任させられたことが原因だった。 新CEOのゲルノット・ドルナーはそれらの憶測を否定したが、最近再びそうした憶測が持ち上がっている。 発端となったのはドイツ紙によって、技術開発担当役員(CDO)を務めるオリバー・ホフマンが3月にも退任させられるという報道があったことだ。 オリバー・ホフマンはF1計画を推進していた人物の一人で、そうした人物の更迭がF1プロジェクトに影響を与える可能性があると見られている。 なおホフマンCDOの退任理由はドルナーCEOとの間でのアウディの将来を巡る見解の相違だとされている。またホフマンCDOのもとで計画されていた市販モデルが期待されたほどの成功を収めていないこと、または計画が延期されていることなどの引責もあるとされている。 アウディは22日(木)に取締役会を開いて問題について話し合う予定で、そこで同意が得られた後は3月のフォルクスワーゲン・グループの監査役会で最終決定がなされる可能性がある。 なおドルナーCEOは、ホフマンCDOを解任後、彼をF1プロジェクトに移すことも考えているという。 motorsport.com/Motorsport-Totalの取材に対し、アウディは回答していない。ただ独ビルド紙に対しアウディの広報担当者は「原則として人事問題についてはコメントしない」と述べており、これは報道に対する異議がないと捉えることもできる。 ただプロジェクトの母体となるザウバーは、すでにアンドレアス・ザイドルをCEOとして招聘。新体制に向けた準備を進めているため、ホフマンCDOが移ってきたとしても、新たな役割については意思決定の面からも理想的とは言えない。 こうしたホフマンCDOの状況は、アウディのF1参戦が完全に固まったものではなく、今後変わる可能性があるという新たな憶測に繋がっている。 ドイツの経済誌に対し、ドルナーCEOは以前、次のように語っていたが、彼が公式にアウディのF1参戦計画を表明しているのはこのときだけだ。 「アウディとフォルクスワーゲンの経営委員会と監査役会によって決められた、アウディが2026年からF1に参戦するという決定は明確なものだ。この計画は引き続き実行されることになる」 今後、アウディが経済的にもイメージ的にも大きな損害を受けることなく、F1参戦計画の問題から抜け出すことができる投資家が見つかった場合、ドルナーCEOはザウバー株の売却に前向きであるという憶測もある。 そしてこうしたアウディのF1計画の不確実性が話題となることは、チームが獲得しようとしているトップエンジニアやカルロス・サインツJr.のようなドライバー候補を説得する上で、難しい材料になる可能性もある。
Christian Nimmervoll