『未来少年コナン』が生まれた怒涛の1978年 空前のSFブーム、伝説のアイドルのデビューも
天才アニメーター宮崎駿監督の最高傑作
「アニメ界の生きる伝説」こと宮崎駿監督が、監督デビューを果たしたのが1978年のTVアニメ『未来少年コナン』(NHK総合)でした。このとき、宮崎監督は37歳。今なお、『未来少年コナン』を「宮崎アニメの最高傑作」と評する声もあります。 【画像】え…っ? 『ラピュタ』ムスカ大佐の子孫?似てる? これが『未来少年コナン』の意外なキャラです(3枚) 2024年5月24日(金)から、そのTVアニメ版『未来少年コナン』の第1話から第4話までが劇場公開されます。また、5月28日(火)からは舞台『未来少年コナン』も上演されます。加藤清史郎さんが「コナン」、影山優佳さんが「ラナ」、門脇麦さんが「モンスリー」という配役です。 多くのクリエイターたちに影響を与え続ける『未来少年コナン』が放映された1978年は、どんな年だったのでしょうか。振り返ってみると、現代とも密接に結びつき、ポップカルチャーシーンにおいて重要な1年だったことが分かります。 ●マルチエンドの先駆け『さらば宇宙戦艦ヤマト』 高度に進化しすぎた文明に対する批評的メッセージ、自然児コナンの躍動を描いたアニメーションとしての醍醐味、巨大爆撃機「ギガント」に見るミリタリーものへの偏愛……。『未来少年コナン』全26話には、宮崎監督のすべてが詰まっていると言っても過言ではありません。 原作は米国の児童文学『残された人びと』ですが、ストーリーもキャラクターも思いっきり脚色されています。宮崎監督が原作を忠実にアニメーション化していたら、ここまで魅力的な作品にはなっていなかったでしょう。 第1話「のこされ島」で、孤島育ちのコナンは、海辺に漂着した少女ラナと出会うことになります。「おじい」に命じられたコナンは、ラナが着ていた衣服を小川まで洗いに行きますが、ラナの衣服に鼻を近づけて「変な匂い~!」と大はしゃぎするなど、早くも宮崎監督ならではのフェチぶりを感じさせます。 劇場アニメ『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が夏休みに公開され、前作の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』(1977年)を上回る大ヒットを記録したのも1978年でした。主人公の「古代進」が「森雪」をともなって「白色彗星帝国」へと特攻するラストシーンは、賛否を呼びました。 しかし、『さらば』とうたいながらも、同年10月からはTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト2』(日本テレビ系)の放送が、しれっと始まります。また、TVシリーズの結末は、劇場版とは異なるものでした。『機動戦士Zガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』に先駆けた、マルチエンディングだったといえるでしょう。「デスラー総統」に似ていることを自負していた西崎義展プロデューサーの人気が絶頂期を迎えたのも、この年でした。