もしも恐竜と暮らせたら。かわいい恐竜たちと人間が暮らす町の、ほっこりな日常【書評】
いつの時代も人気者で、子どもだけでなく大人をも魅了する恐竜。もし彼らと共に暮らす日常があったとしたら…。『恐竜はじめました』(クラナガ/KADOKAWA)は、何気ない日常の中に溶け込む、小さな恐竜たちの姿を描いた物語だ。 【漫画】本編を読む
白亜町に暮らす社会人・倉田。ある日、倉田は恐竜の赤ちゃん「バブ」と出会い、共に暮らすようになる。アナウンサーの頭の上に乗る「ダッコ」やパン屋の店主になつく「フク」など、白亜町にはさまざまな恐竜たちが暮らしている。本作では白亜町の住民たちと、そのパートナーである恐竜たちとの穏やかな日常が描かれる。 本作最大の見どころは、なんといっても恐竜たちの個性豊かな姿だ。バブはパンツがお気に入りで、ころんころんと寝転ぶ姿が、まるで赤ちゃんのように愛おしい。 甘えん坊だったりしっかり者だったり、さまざまな個性をたずさえながら、恐竜たちはどの家庭にも必要不可欠な存在として溶け込んでいる。 ひとことで恐竜といっても、白亜町に暮らす恐竜たちの種類はさまざまである。バブのお隣に住むコッペちゃんは、プテラノドンかな。パン屋のフクちゃんは、アンキロサウルスだろうか。ページをめくるたび、どんな恐竜たちに会えるのだろうかと、わくわくしてしまうのだ。 恐竜たちの仕草や表情のひとつひとつが、やわらかいタッチで丁寧に描かれており、いつの間にかその世界に引き込まれてしまった。また、言葉は通じずとも、心を通わせあう恐竜と住民たちの姿は、種族を超えた絆の尊さをわたしたちに教えてくれる。 本作は12月20日に最新3巻が発売。何気ない日常の中に溶け込む小さな恐竜たち。彼らの姿が、日々の暮らしの尊さと、そのなかに隠れている小さな幸せを感じさせてくれる。心を癒されたい人は、ぜひとも彼らの日常を覗いてみてほしい。 文=ネゴト / ニャム