劇症型溶連菌の感染患者、過去最多の昨年を上回る勢い 毒素多い株も検出
A群患者335人の性別の内訳は男性192人、女性143人。年齢別では20歳未満13人、20代6人、30代22人、40代46人、50代44人、60代68人、70代76人、80代以上60人と加齢とともに増える傾向にあった。
同研究所はA群をさらに細かく分類した際のM1型のうち、毒素の産生量が多く、ここ十数年英国で多く報告されている株(M1UK系統株)が検出されていることを重視している。3月25日現在の集計では、1月1日以降全国でM1UK系統株分離が43例あり、うち千葉県で8例、神奈川県で7例、茨城・埼玉・長野の3県でそれぞれ4例あり、関東圏での検出、分離が目立っている。
この菌は飛沫(ひまつ)や接触により感染するため、厚労省によると、手指の消毒やマスク着用など、新型コロナウイルス感染症予防対策で知られる「せきエチケット」が重要で、菌の侵入経路となる手足などの傷口を清潔に保つことも有効だという。
咽頭炎などを引き起こす通常の溶連菌感染症が、どのような要因で命に関わる劇症型に移行するかはよく分かっていない。一方、一般的な溶連菌感染症は子どもを中心に、新学期が始まる時期と冬に流行する傾向があり、同省は劇症型への移行、感染拡大に注意が必要としている。
STSSが昨年から現在まで増加傾向にあることについて同省は、新型コロナ対策が昨年5月以降緩和されてから呼吸器感染症が増加し、溶連菌咽頭炎患者も増えていることが関係している可能性もあるとしているが、詳しい要因は不明だ。