NPBの助っ人事情が交渉材料に…韓国名門が元米有望株獲得に使った“術”「日本は不振なら長く待ってくれない」
助っ人を口説く方法は千差万別。国際的な移籍が活発化している近年は、さまざまなアプローチを駆使して球団に招く必要がある。 【動画】日韓争奪戦が展開された元逸材 フロリアルの本塁打をチェック その手法の一つとして、KBO(韓国プロ野球)リーグの名門ハンファ・イーグルスの交渉術は興味深いものと言える。現地時間12月13日に、元ヤンキースのプロスペクトであったエステバン・フロリアルと1年総額85万ドル(約1億3000万円)で契約した彼らは、話し合いの場で「日本球界との違い」を駆け引きの材料に使ったという。 この交渉の内情を伝えた日刊紙『朝鮮日報』は、フロリアルを巡っては日本の複数球団も獲得に関心を寄せていたと報道。「金銭面だけで言えば、日本の球団の方が有利な立場にあった」と指摘した上で「ハンファは出場機会を保障する重要性をアピールし、フロリアルを説得した」と契約成立までに至ったワケを伝えた。 「まだ27歳と若く、メジャーリーグへの未練があった本人の本音をハンファは把握していた。1年以上前からフロリアルに注目していたハンファの関係者たちは、韓国でプレーすることで得られるメリットと優位性をアピールした。外国人選手を無制限に保有できる日本は不振に陥った場合に長くは待ってくれない。一方で、1球団3人までと制限されている韓国では、助っ人選手の十分な出場機会が保証される」 KBOリーグは、外国人選手に関しては1球団3人までと登録制限が定められている。ゆえに一人の選手に対してはよほどのことがない限りは短期間でクビを切らない傾向が強い。その特性を活かし、ハンファは27歳の元有望株を獲得したというわけである。 同紙は、こうも続けている。 「フロリアルにとって何よりも良い成績を残すことが重要で、お金よりも環境と特性を考慮していた。投手力が極端にある日本より、『打高投低』のイメージがある韓国でプレーする方が好ましかった。そして、『韓国でうまくやれば、良い待遇で再びメジャーリーグに行くことができる』という説得に移籍を決意した」 近年のNPBは「投高打低」の傾向が強く、とりわけ打者の外国人選手が苦戦を余儀なくされることは少なくない。短期間で契約を失うリスクを把握しているKBOリーグ球団は、その事情をエサに強打者の補強を進めているようだ。 この先、MLBから流れてくる助っ人打者の獲得競争を確実に制していくためには、出場機会などの保証面も潤わせる必要があるのかもしれない。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]