飛躍を遂げた日本ハム・斎藤友貴哉 覚醒の兆しの裏にあった要因とは
日本ハム・斎藤友貴哉投手(29)は今季、プロ初セーブを記録するなど大きな飛躍を遂げた。来季に向けてさらなる期待を抱かせる1年となったが、その覚醒の兆しの裏にあったメンタル面の改善に迫る。 きっかけをつかんだ1年だった。阪神から日本ハムに移籍して2年目のシーズン。斎藤友は、キャリアハイの25試合に登板し防御率1・71の成績を残した。5月12日の西武戦では1080日ぶりの勝利。9月23日の西武戦では公式戦自己最速の160キロを記録。10月5日の楽天戦ではプロ初セーブ。7月20日以降13試合無失点で締めくくった。 「前向きというか、向かって行くだけという。気持ちを変えました。緊張はめっちゃするんですけど、気持ちは負けないっていうのを意識しました。コントロールもすごく改善されて、真っ直ぐもすごい良くなったんですけど、楽しかったんで。“投げたい”、“投げたい”という気持ちだったんで。シチュエーション関係なく打者に向かって行くっていうのを大事にしていました」 好成績の要因を問うと、そう答えた。技術面、球の力のレベルアップが下地にはある。だが、最大の要因はメンタル面の改善。ブルペンを担当する武田久投手コーチの言葉が支えになった。 「久さんから『もうお前は行くしかないんだから』という言葉がありました。久さんが背中を押してくれた感じなんです。『コントロールで攻めるタイプじゃないし』ていうのもありましたね」 初セーブを挙げた10月5日、ヒーローインタビューで「行くだけ」と連呼した。「任されたところを行くだけ」、「打者に向かって行くだけ」。武田コーチの言葉を自分なりに落とし込んでマウンドに上がった。そして「プロ6年目でやっと初セーブ。狙ってたところに来られた」とも話した。クローザー。目指してきたポジションだ。 このオフはウエートトレーニングに重点を置いてパワーアップに努める。「本当に来年が大事だと思うので、このオフのトレーニングしっかりして。今年ある程度自分の形になってきたところをもう一つ見つめ直して、来年やれればと思っているので」。さらに成長して、今季つかんだ“きっかけ”を元に大きく飛躍する思いだ。 「斎藤君はメンタルがノミの心臓と聞いた」-。入団会見で新庄監督が語った言葉だが、当時の斎藤友はもういない。待ち望むのは、古巣との対戦。昨季は負傷で、今季の阪神戦は2軍調整中で、登板機会はなかった。「投げたいっすね」。阪神戦。最終回。心身ともに成長した姿を見せつける。(デイリースポーツ・鈴木創太)