英レキット株が急落、乳児用ミルク巡る米裁判で賠償命じる評決
(ブルームバーグ): 15日の英株式市場で、家庭用品・医薬品のレキットベンキーザー・グループの株価が急落。乳児用粉・液体ミルク「エンファミル」を与えられた未熟児が死亡したとして、米イリノイ州の陪審はレキットに6000万ドル(約89億円)の支払いを命じた。
この評決を受け、レキットの株価は15%安で取引を終了。2014年以来の安値に沈み、約54億ポンド(約1兆円)の時価総額を失った。下落率は一時20%を超え、取引時間中として過去最大を記録した。
原告の弁護士を務めるアシュリー・ケラー氏がインタビューで語ったところによると、イリノイ州セントクレア郡の州裁判所の陪審は今週、レキット傘下のミード・ジョンソン・ニュートリションはエンファミルに壊死(えし)性腸炎(NEC)のリスクがあるとの警告を怠っていたと判断した。
NECは腸が損傷を受ける病気。複数の調査によると、罹患(りかん)する大半が早産児で、発症した場合の致死率は40%にも上る。
ケラー氏は15日、「陪審団の評決は、乳児用ミルク製品がNECのリスクを劇的に高めることをミード・ジョンソンが知っていたことを確認した」と指摘。「米国では今回が初めての評決だが、乳児用ミルクメーカーが間違いの責任を受け入れない限り、最後にはならない」と語った。
レキットは製品の安全性を支持するとし、今回の評決について控訴する方針。
ケラー氏によると、ミード・ジョンソンと別の乳児用ミルクメーカーであるアボット・ラボラトリーズに対する訴訟は、イリノイ州連邦判事が公判前整理手続きで400件余りの併合を進めている。判事はまだ公判の期日を設定していない。州裁判所で係争中の訴訟は数千件あるという。
原題:Reckitt Loses $7 Billion Market Value After Formula Verdict (2)(抜粋)
--取材協力:Jennifer Creery.
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Jef Feeley