研究、単位、インターン…ハードな生活 地方国立大の理系院生が〝大手電機メーカー〟に内定するまで
インターン中も学会用の資料作り
エントリー前の準備では、内定したES例を掲載しているサイトを参考に「どういう質問が来るのかを想定して、ある程度はESに書くことを用意していました。インターンの情報が解禁された後、実際の項目を見て内容を修正しました」と話します。 学業と就活のバランスは人によって様々で、講義は控えめにして就活に時間をかけ、内々定が出た後に単位を取る大学院生もいたといいます。 男性はアルバイトもしていましたが、学部生のときよりも時間は減らしたそうです。「就活に時間を割くには、どれかを減らさないといけないなと実感しました」 ESが通ったあとは、面接のスケジュールと研究などの予定を埋めていきました。 大変な中でも助かったのは、多くの企業の面接がオンラインだったことです。「従来は直接企業まで行って面接していたと思いますが、大学や家にいながら面接を受けることができ、移動にコストを払わず済みました」 男性は短いプログラムで1日、長いものでは2週間のインターンを計10社ほど経験したといいます。地方で開催された長期インターンは宿泊も伴いました。直後に学会発表が控えていたため、午前9時から午後6時までのインターンが終わった後、ホテルで発表の資料を作っていたそうです。
それでも「参加してよかった」
慌ただしい夏を過ごした男性でしたが、それでも「インターンに参加してよかった」と話します。「内定した会社のインターンでは、希望とは違う職種を経験しました。参加したことで理系の職種の幅の広さを知ることができました」 また、後日インターン参加者向けの懇親会もあり、選考スケジュールを聞いたり、希望する職種の社員と面接したりできたそうです。「参加者同士で情報交換もでき、個人的にはいい経験でした」と振り返ります。 本選考のエントリーは大学院1年生の3月頃から。5月上旬には第1志望の企業から内々定をもらったそうです。結果的に10社ほど採用面接を受け、5社から内々定が出たといいます。 大学院生の就活については「学業、研究、就活の3本柱が重みになっています。それを均等にこなすのは、多くの人はできないと思う。現状、『どれを捨てるか』の見極めが必要です」と話します。 サマーインターンの参加に後悔はありませんが、その間「研究をほとんど捨てていた」という男性。「しっかり研究に充てる時間があればもっと深掘りできていたかと思いますが、卒業するための単位数と、卒業後の働き口を探すことを重視しました」 就活の負担を軽減するためには、「大学院での取得単位を減らすか、ドクター人材の就職についてもう少し制度化したほうがいいのではないでしょうか」と疑問を投げかけました。 ◇ ◇ ◇ <体験談お寄せください> 大学在学中の就活生、または入社3年目くらいまでの方、就活の体験を聞かせていただけませんか? 取材に協力していただける方は、こちらのフォーム(https://forms.gle/yKTLpDZUaCASevmA6)からご連絡ください。