<The追跡>地方32年ぶり地価上昇 過疎地域が急上昇のワケ【WBS】
過疎なのに...地価急上昇の訳
外資の進出の波は、新潟県にも押し寄せています。 大江キャスターが向かったのは新潟県で最も地価が上がった妙高市関川山柘谷内です。去年に比べ、地価が9%の上昇となりました。妙高高原の池の平温泉にある山柘谷内はゲレンデに近く、別荘やペンションが立ち並びます。しかし人の姿はありません。 住民に話を聞いてみると「温泉が出て企業の寮や別荘が多かった。バブル以降どんどん減ってほぼないに等しい状態」だと言います。 過疎化が進む山柘谷内が新潟県トップに躍り出た訳は? 「大規模開発。シンガポール資本で動いている」(旅館経営)
仕掛けているのはシンガポール系の投資ファンド「ペイシャンスキャピタルグループ」。妙高高原、斑尾高原、野尻湖を含む一帯を2000億円を超える投資で一大リゾートにする構想です。これまでに西武ホールディングスからスキー場を買収したほか、ホテルや湖畔の土地の取得を進め、2028年から順次開業する予定です。 地域では、この計画を聞きつけた他の外資系企業も動き出しているといいます。 「ペンションぐらいのサイズだと外資系企業にポンポン売れる」(旅館経営) 「訳のわからないエージェントがいる。今売ったら得ですよって」(別の旅館経営) 地元の観光協会の元会長である鴨井茂人さんによれば「既に売却されている家が数軒ある。そちらもこちらも売却済み」と、高齢で跡継ぎがいないという実情もあり家を手放すケースが多いといいます。 再開発をどう進めていくのか。エリアを開発するシンガポール系投資ファンド「ペイシャンスキャピタルグループ」のトップがケン・チャンCEO。20年以上にわたって日本の不動産開発に関わってきたチャン氏が、このエリアに目をつけた理由とは? 「一つは利便性。新幹線の長野駅、飯山駅、上越妙高駅の3駅がこのエリアを囲んでいる。このエリアは比較的まだ開発されていないということは魅力」(ケン・チャンCEO) チャン氏はリゾート開発に適した場所として、東京から片道3時間で到達できることを条件の一つと考えています。 「特に日本はインフラが先行して、電車をつくったり道路をつくったりというところが目立つ。例えば伊豆半島。開発はしたが1回落ち着いてしまって、もう1回チャンスではないかと思ったりもしている」(ケン・チャンCEO) 外資主導で動き出した一大プロジェクト。地元自治体はどう捉えているのでしょうか。 「物価が上昇するという一つの問題や、日本人旅行客が来なくなるのではないかという心配はある。相手方と話しているのはお互いがウィンウィンになりましょうという話。そういう地域づくりをしていきたい」(妙高市の城戸陽二市長) ※ワールドビジネスサテライト