『おむすび』橋本環奈×仲里依紗の姉妹だからこその人間臭さ すれ違う米田家の思い
ハギャレンのみんなとステージに立ち、久しぶりに心から笑えることができた結(橋本環奈)。しかし、その魔法は一夜にして解けてしまう。 【写真】歩(仲里依紗)の付き人役の一ノ瀬ワタル 打ち上げで父・聖人(北村有起哉)の本音を聞いた結は、これ以上の心労をかけまいとギャルを辞めることを決意。『おむすび』(NHK総合)第26話では、再び本当の笑顔を失った結のために姉の歩(仲里依紗)が立ち上がった。 実家の畑の手伝いに専念するべく、結は書道部まで辞めてしまう。事情を知らない風見(松本怜生)や恵美(中村守里)は必死で引き止めるが、その意志は固かった。 本人はいつも通りに振る舞っているけれど、無理をしているのは誰の目にも明らか。聖人もすぐに結の異変に気づくが、昨晩のことを全く覚えておらず、愛子(麻生久美子)に話を聞いて二日酔いの頭を抱える。一方、これを好機と捉え、「みんなで神戸のことを話そう」と提案する愛子。聖人はその機会を慎重に見極めようとしていたが、永吉(松平健)が呑気にすき焼きをやろうと言い出した。 しかし、それは歩が永吉に頼んだこと。あの日、みんなに隠れて聖人の打ち上げでの演説を聞いていた歩は涙を流していた。糸島で高校に入学すると同時に、ギャルになった歩。親友である真紀(大島美優)の死から立ち直れずにいた歩は、全く違う自分になることで気持ちに区切りをつけて前に進もうとしていたのかもしれない。それなのに分かってくれない父親を当時はうざったく思っていた歩だが、聖人は聖人で人助けにかまけて放置してしまった娘の傷と向き合うのに必死だった。 そんな父を見てきたから、自分は心配をかけまいと色々なことを我慢してきた結。それが歩のせいだとは思わない。歩が前に進むために必要だったことが、結果的に結や聖人を過去に縛り付けてしまっただけで誰のせいでもないからこそ切ないものがある。 歩は聖人の話を聞いて責任を感じたのだろう。家族で神戸のことを話す機会をつくり、「私は家族みんなで神戸に行きたいと思ってる」と今の気持ちを打ち明けた上でみんなの本音を探る。元はといえば、結たち家族は傷ついた歩の心を癒すために神戸を離れて糸島に移住した。その判断は間違っておらず、もしあのまま真紀との思い出があちこちに散らばった神戸にとどまっていたら歩はきっといつまで経っても立ち直れなかっただろう。 だけど、そのために神戸の友達と離れて、見知らぬ土地で一から生活をスタートさせた結にはそれ相応の苦労があった。聖人や愛子だって生活のために慣れない畑仕事に打ち込んできたのだ。そしてようやく結にも糸島で友達ができて、聖人も島の人たちに頼りにされる存在になってきた。永吉も自分の跡は聖人たちが継いでくれると安心している。それなのに、今さら「神戸に戻りたい」だなんて。結が「お姉ちゃんってホントに勝手よね」と怒りを露わにするのもわからなくはない。でも、歩も本気で神戸に戻りたいとは思ってはおらず、自分のせいで神戸に戻るという選択を選べなかった家族に、「もう私は大丈夫だから」と伝えたかったのではないだろうか。それをうまく言葉にして伝えられない不器用さがもどかしくも、人間臭さを醸成している。 一方、ハギャレンは糸島フェスで披露したパラショーの効果でメンバーが増え始めていた。より一層賑やかになった集会に、突如現れたのは創設者である歩。仲のギャル扮装はまだ写真の中でしか見れていないが、歩が結との関係修復に乗り出した今週はいよいよその姿を拝めるだろうか。
苫とり子