起床後1時間以内のタンパク質摂取で、筋肉が衰えるのを防ぐ。朝に食べることで吸収率がアップする食材とは?
◆朝に何を食べるのか それでは朝に何を食べればいいのだろうか。 朝は脂肪の分解に関わる肝臓が活発に活動する。そのため高カロリー食を食べても脂肪として溜め込まれにくい。 健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏は「朝カレー」を勧める。 「一日の始まりでもある朝は、その後に活動量が上がっていくため、カレーのように油分があってカロリーが高いものを食べても太りにくいのです。スパイスも入っているので昼にかけて体温が上昇する手助けにもなりますし、野菜も加わってバランスが整います」 栄養バランスがとれた朝食を摂る人ほど脳全体が活性化し、記憶力や論理思考力が上昇するという報告もある。 ただし塩分を処理する腎臓は、朝よりも夜に活発に働くため、高血圧症の人は朝カレーを控えたほうがいいという。 塩分が気になる人や朝食はパン派なら、「ツナサンド」を。 ツナ缶は主にマグロやカツオなどの魚から製造され、その魚油には脳や血管に対する老化防止があり、心疾患のリスクを低下させるオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれる。この吸収率が「朝」がいいというのだ。
◆花粉症の予防効果も 早稲田大学名誉教授で広島大学大学院医系科学研究科の柴田重信特任教授がこう話す。 「朝食と夕食に魚油を摂取した場合でどちらが血中濃度が上がるかを比較したところ、朝でした。魚油に含まれるさまざまな効能を、朝に摂取したほうがより強く得られるということです」 驚くべきことに、魚油には肥満防止や花粉症を改善する効果もあるという。愛国学園短期大学准教授、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構招聘研究員で管理栄養士の古谷彰子氏は、マウスの実験でその効能を証明した。 「花粉症の予防はもちろん、すでに花粉症になってしまった場合にも魚油、つまり魚を食べることでそのつらい症状を軽減できることがわかっています。さらに体脂肪の蓄積も抑制して肥満を防ぎます。魚といってもいろいろありますが、私は朝食でツナ(マグロ)の摂取をお勧めします。サンマ、イワシ、ニシン、マグロなどの魚の中で、マグロが最も、体内時計のリセット効果があることが私たちの研究によってわかったからです」 体内時計をリセットする働きが強いことからも、ツナサンドは朝にいいというわけだ。 それでは「焼き魚」はどうか? 「もちろんOKです。私たちの実験結果では、炭水化物+タンパク質が体内時計をガツンと動かすのに一番効果的でした。ですからツナサンドならパン(炭水化物)とツナ(タンパク質、DHA・EPA)で理想形ですし、焼き魚ならごはんとセットがいいですね」(古谷氏) 朝からそんなに食べられないよ……という人は、「魚肉ソーセージでもいい」と大池氏。 「魚肉ソーセージもツナと同様、魚由来のタンパク質が手軽に取れる。マグロやイワシを原料にしている商品もあります」