SNSで拡散された安倍晋三元首相の「エンタメ力」 “スルーされない”ネット戦略とは?
「パンとサーカス」を心ゆくまで楽しむ宰相
後に政治資金の違法支出を疑われて糾弾されることになる首相主催の「桜を見る会」では、ももいろクローバーZをはじめ芸能人とポーズをとる姿が報じられた。嵐やTOKIOなどの芸能人と歓談する姿が、Twitterなどで拡散された。吉本興業の吉本新喜劇に出演するといった一幕もあった。何とも珍妙な印象を持った向きも多かったし、ローマ帝国の統治術である「パンとサーカス」とばかりに国民の目を欺いているといった野党側からの批判も強かった。 だが、どの安倍もその場を楽しんでいるように見受けられた。安倍は、ローマの皇帝のように、「パンとサーカス」に我を忘れる市民を冷たく見下ろしたりはしない。「パンとサーカス」の中に飛び込み、心ゆくまで楽しむのである。そうであればこそ、第2次政権時代、安倍は『ウィンストン・チャーチル』から『永遠の0』など話題となった映画を、映画館で見続けた。 そうした姿勢の延長線上に、スーパーマリオの扮装もあった。「地方創生」や「一億総活躍」など内政面で次々と施策を打ち出し、海外では、アベノミクスで日本株を売り込むようなセールストークも躊躇しない。「地球儀を俯瞰する外交」を掲げた外交実績もさることながら、地道にエンタメに関する話題を振りまき続けたのが、宰相安倍晋三である。 ◆ 本記事の全文(約1万5000字)は「文藝春秋 電子版」でご覧ください(牧原出「 宰相・安倍晋三論 政治にエンタメ感を演出。『次へ次へ、さらにその次へ』と国民を誘い込んだ 」)。全文では下記の内容をお読みいただけます。 《目次》 『安倍晋三 回顧録』の臨場感 “ドラマ好み”という政治資源 「雑談力」の核心にあるもの 「ゲーム」を勝ち抜く オリンピアン麻生太郎 オペラ好きの小泉純一郎 ゴルフ・待合・麻雀・囲碁 エンタメの世界を楽しむ姿が支持された 政治に持ち込まれるエンタメ エンタメ宰相に映し出される「自分自身のかげ」 「次へ次へ、さらにその次へ」のドラマ感覚 エンタメに生きエンタメに殉じる 安倍の時代が再来するまで
牧原 出/文藝春秋 電子版オリジナル