賃上げ6000円超も賃金格差拡大を懸念 介護9団体が調査
全国老人保健施設協会や全国老人福祉施設協議会など9団体は9月19日、介護現場で働く正社員の賃上げ額が前年より6000円以上だったと発表した。しかし、他産業と比べると低いことから、今後の賃金格差の拡大を懸念している。 調査は8月23日~9月6日にかけて実施。8761事業所が回答した。 今年度の正社員の賃上げ額は6098円で、賃上げ率は前年度比2・52%。このうちベースアップ分は3299円だった。 特に特別養護老人ホームや老人保健施設などの居住施設系の賃上げ額は5931円。同様に通所介護や訪問介護などの在宅系は7373円に上っている。 また、6月時点の物価状況を4年前と比べると、特養や老健などの電気代が55%も増加。同様にガス代が51%、燃料費が32%、給食費が56%増えていた。 一方、連合によると今年の春闘による賃上げ率は5・1%で33年ぶりの高水準だった。日本商工会議所などによる賃上げ率の調査でも、医療・介護・看護(2・19%)は、小売(4・01%)や宿泊・飲食(3・37%)などと比べ最も低かった。 結果を受け、全老健は「全産業と介護分野における職員の平均賃金の差はさらに拡大する」と分析。今後、政府に対してさらなる対策を求めるという。