新型ロードスター&MX-30ロータリー EV試乗記。何がどう進化したのか?
自動車ジャーナリストのレジェンド岡崎宏司氏が綴る、人気エッセイ。日本のモータリゼーションの黎明期から、現在まで縦横無尽に語り尽くします。 岡崎宏司の「クルマ備忘録」 初代の開発段階から関わり、その歴史をずっと見続けてきた筆者が、昨年10月にマイナーチェンジした新型ロードスターに試乗。「走り出せばすぐ違いがわかる!」ほど明らかだったという進化のディテールとは?さらにMX-30ロータリー EVの試乗記もお届けします。
ロードスターとMX-30ロータリー EVの2台持ちに惹かれる!
新しいロードスターに乗った。このところ、あまり試乗はしていないが、ロードスターは外せなかった。 ロードスターとの初の出会いは1987年か88年。場所はマツダのテストコースだった。そう、初代ロードスターの開発段階から関わったということだが、すごく楽しい、そして大切な思い出になっている。
ロードスターの開発現場はいつも明るく、楽しい空気に包まれていた。実験部の腕利きドライバーと、ともにムキになってタイムを競い合ったこともしばしばだった。 デビュー後には、山岳ワインディングロードに場を移して同じようなことをやった。どちらも、勝てばうれしさを、負ければ悔しさをストレートに表した。でも、最後は大笑いで終わった。 多くのクルマの開発に関係してきたが、こんなに明るく楽しい現場は他に思い出せない。 ロードスターには「人の心をワクワクさせ、笑顔にする」、、そんな何かがあるが、開発現場のあれこれを思い出すと、「そう、、そうなんだよな!」と頷いてしまう。 でも、だからといって、真剣さに欠けていたわけではない。すごく真剣だった。真剣に走り、真剣に考え、真剣に議論を戦わせた。でも、どこかで、必ず笑顔と笑いが重なった。
ロードスターといえば、「そもそもは俺が発案者なんだよ」と、僕に耳打ちした人物が複数人いたのも面白かった。内、ひとりはアメリカ人だったが、未だ、謎は解けていない。 というより、謎は謎のままの方が楽しい。なので、僕はあえて真相を探るようなことはしなかった。話題に出すこともしなかった。 たぶん、正式に会議や書面で提案する前、好き者が集まりスポーツカー論議でもやっている時に、、誰かの口から出て、その場にいた人が「いいね‼ やろうよ‼」となったのが「ことの始まり」だったのではないか。 ちなみに、海外市場での名称は「Mazda MX-5」であり、北米市場では「Mazda MX-5 Miata」と呼ばれる。Miataとは、ドイツ語の古語で「贈り物」を意味するというが、いい名前だ。