〈ひとり言〉で集中力・記憶力がアップ!仕組みを脳内科医が解説。探し物は、「××はどこに行ったのかなぁ」とつぶやくと見つかりやすい
<ひとり言>というと、「自分の世界に入り込んでいるみたい」「なんだか地味で暗い感じ」など、あまり良い印象を持たない方もいるのではないでしょうか。しかし、脳内科医の加藤俊徳先生は「ひとり言には脳を覚醒させ、眠っていた能力を伸ばす力がある!」と断言しています。そこで今回は、加藤先生の著書『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』より、脳科学的な視点から<ひとり言のメカニズム>を一部ご紹介します。 【書影】「ひとり言」のメカニズムを脳科学の観点から解き明かし、能力を高める方法を紹介。加藤俊徳『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』 * * * * * * * ◆集中力がアップするつぶやきとは? 英国の研究で、ひとり言で集中力が増すという実験結果がありました。 このことを、改めて脳の仕組みから解説してみましょう。 実験ではある数を見つけるオンラインゲームを4つのグループに分けて、その成績を比較したということです。 より早く反応するイメージを持ってゲームをするグループ、起きるかもしれない状況を予測してゲームするグループ、ひとり言をつぶやくグループ、とくに何もしないグループです。 結果は、最も優秀だったのがひとり言をつぶやいたグループでした。 しかも「90点を取るぞ」というような具体的な目標を立てるより、「一番になりたい」「できるだけ頑張るぞ」といったひとり言がもっとも有効だったそうです。 オンラインゲームですから、おそらくコントローラを使いながら対戦するのでしょう。 ひとり言をつぶやくことで、まず左脳の「思考系」が刺激され、左脳の前頭葉から「運動系」に指令がいきます。 このとき、ひとり言をつぶやくことで脳がモチベーションを上げ、臨戦態勢に入るということだと考えます。 その他の3つのグループは、いずれも言葉を発声していないことに注意してください。
◆イメージ化しやすい言葉 おそらくですが、ひとり言はつぶやくことで「運動系」脳番地を働かせています。 ゲームでは視覚で数字を捉え、ある数を見つけ次第、手と指を動かしてコントローラを操作します。 運動系が活性化されていることで、これらの動きも他のグループに比べるとスムーズに行ったと考えられます。 また、「90点を取る」という数値目標より、「一番になる」「頑張る」という言葉が有効だったのも頷けます。 90点という数値それ自体は、概念的なものです。 そのため脳の中でイメージしにくいのです。 その点、「一番になる」「頑張る」というのは、ずっとイメージがしやすい言葉です。 一番になったときに喜んでいる自分の様子、周りの賞賛する光景が連想されます。 頑張っている状況も、必死でコントローラを動かす様子がイメージできるでしょう。 イメージ化しやすい言葉であるがゆえに、脳を働かせやすくなるわけです。
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