関西テレビ

大阪府警が5年前から設置している「人身安全対策室」は、行方不明になった府民を所轄の警察署と連携して探す、専門の集団です。 ■【動画で見る】徘徊する認知症患者　年間1万8709人の認知症による行方不明者　24時間体制で捜査する大阪府警「人身安全対策室」に密着 深夜の公園やトイレなどもくまなくチェックし、捜索にあたっています。 中でも問題となっているのが、行方不明になる“認知症患者”。今一体、何が起きているのか？その最前線を取材しました。

■大阪府警の「人身安全対策室」とは？

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延べ1万8709人。これは2022年、認知症が原因で行方不明となり、警察に届けられた数です。このうち、大阪府ではおよそ2000人と、全国で2番目に多い数となっています。 「大阪府警察本部 生活安全総務課 人身安全対策室」は、約5年前に新設された部署。行方不明事案や虐待などの対応窓口を一元化し、24時間体制で初動捜査に当たっています。 この日は午後6時半、認知症と思われる行方不明者の情報が入りました。 【警察官】「茶色のセーター、黒色の野球帽ですね。杖もついているということですね。杖の色は分かりますか？」 【警察官】「一人で今まで外出したことがなく、今回が初めて。携帯電話なしです」 捜索班は2人1組。行方が分からない82歳の男性が住んでいる地域を車で回り、道に迷っているような人がいないか、警戒します。 捜索開始から1時間後、別の班が男性を発見。命に別状はなく、無事に保護されましたが、体調不良を訴えていたため、急きょ、病院に運ばれることになりました。 認知症の行方不明者は事件や事故に巻き込まれるケースも少なくないため、より緊急性の高い「特異行方不明者」に指定し、捜索に当たります。 認知症の症状で行方が分からなくなった人の数は全国で年々増えていて、2022年は過去最多を更新する、延べ1万8709人。特に大阪では過去5年間で4度、全国最多となっています。

■86歳の女性が行方不明　捜索班が行方を捜す

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午後9時半、再び認知症と思われる行方不明者の情報が入りました。 【警察官】「本日13時ごろに自宅から徒歩で所在不明という状況です。着衣については黒ジャンパー、色不明ズボンを着用。認知症を患う86歳の女性の事案です」 86歳の女性、行方が分からなくなってからすでに8時間半が経過しています。 過去の発見事例をもとに捜索を開始。捜索班の2人が目を付けたのは公園です。 86歳の女性が長時間歩いて移動していたとすれば、疲れて公園のベンチやトイレ、遊具などに座っていることが多いためです。 ベンチやトイレの中なども見て回り、30分ほど公園の中を探しましたが、見つけることはできませんでした。 【警察官】「80歳くらいの黒のジャンパーを着た女性とか、一人で来ているような（方）、知る限りではいないですか？」 聞き込みをするも、目撃情報は得られず。 午後11時半。86歳の女性の行方が分からなくなってから10時間以上たちましたが、まだ見つかりません。 大阪府警によると行方不明者の中には、その後も安否の分からない人や、亡くなって発見される人もいます。 実際に2022年の行方不明者延べ1996人のうち、捜索しても見つからなかった人は13人、死亡して見つかったのは16人となっています。 なぜ、見つからないことがあるのでしょうか？ 【人身安全対策室 行方不明担当課長補佐 岡田大介警部】「認知症の行方不明者はご家族が気づかれたときには、すでに行方不明になられてから数時間経過していることも多く、行き先も予想しにくく、捜索範囲を絞ることが非常に困難です。携帯電話を保有契約されていても持ち出さずに行方不明になられる方や、電話に出られない方もおられて、そこが非常に難しいところです」