ますずし値上げの波 輸入サケ・マスの高騰影響 富山の組合加盟店、平均2割高
●新米価格上昇で再値上げも懸念 富山を代表する伝統食のますずし店が円安やロシアによるウクライナ侵攻の影響で値上げを余儀なくされている。富山ます寿し協同組合(富山市)加盟の全12店舗が2022年以降、値上げに踏み切り、価格は平均2割高となった。輸入サケ・マスや包装資材の高騰が主な原因で、今後は米不足による新米価格の上昇も懸念されるため、ますずし店からは「再値上げを考えざるを得ない」との声も聞かれる。 ●数百円アップ 富山ます寿し協同組合によると、加盟店の一重の販売価格は今年8月時点で1800~2100円で、2022年1月時点の1500~1750円から数百円アップとなった。主材料であるサケ・マスの価格高騰の負担が重く、木おけやササなどの包装資材も高騰しており、22年以降で2度値上げした店舗もある。 ロシアが領空の飛行を禁止したため、北欧産のサーモンの輸送コストが上昇した。加盟店では高品質のノルウェー産を使う店舗が多いという。 相次ぐ原材料、資材の高騰に続き、9月下旬ごろから出回る新米の価格上昇も影響が懸念される。大郷磨理事長は「コメはこれまで比較的価格が安定していたのに、それすら上がるかもしれないと考えると頭が痛い」と嘆いた。 味の笹義(富山市小中)は23年9月に価格改定した。一重を1800円から2千円、二重を3500円から3800円に引き上げた。笹山宗博社長は「スーパーやデパート用に卸す時は赤字になることもある」と説明した。新米の価格次第では、再値上げを検討せざるを得ないとし、「ますずしは富山を代表する特産品なので品質は落としたくない」と話した。 元祖関野屋(富山市諏訪川原)は今年4月、2年ぶりの値上げに踏み切り、一重の販売価格を1900円から2100円に上げた。二重、特選などの商品も1割前後値上げした。北海道産サクラマスを使っているため、販売価格は他店より元々高いという。 関野宏之社長は「ますずしを作るために必要な全てのものが高騰している。利益を削ってばかりでは長く続けられない」と話した。