変速と操舵に心が躍る! ブリストル406 S(2) 運命が決まっていたプロトタイプ・クーペ
ボディ別体の構造としては高い洗練度
燃料系とブレーキは、最近リビルドを受けたばかり。タイヤとエグゾーストは新品に交換され、クロームメッキのトリム類も新調された。しかし、オリジナルのバンパーまでは再現されなかった。 ドアを開くと、明るい車内が迎えてくれる。自然な運転姿勢がブリストルらしい。ダッシュボードに並ぶ、メーターの配置も同様だ。 フロントシートはリクライニングでき、背もたれにはショルダーサポートも備わる。ドライバーが快適に運転できることを、初めから充分考慮された設計にある。 キーを回しボタンを押すと、シャシーレール間の高い位置へ収まった、2.2L 6気筒エンジンが目覚める。アクセルレスポンスは軽快で、サウンドはドライ。スロットルリンケージはボールジョイントで、繊細な操作に応える。 キャブレターは、3連ソレックス。シフトダウン時に吹かすと、キビキビと正確に回転数が上昇する。2速で5000rpmまで引っ張れば、100km/hに届く。3速では、140km/h近くに達する。 エンジンのサウンドは、メカニカルで心地良い。バルブギアと吸気のノイズが重なり、特有のハーモニーを生む。オーバードライブに入れて、少し静かな走りも可能だ。 乗り心地は硬め。ボディとシャシーが別体の構造としては、珍しいほど締まりがある。路面から強めの衝撃が加わっても、ガタガタと振動せず洗練度は高い。
変速と操舵に心が躍る 究極の6気筒ブリストル
変速と操舵に心が躍る。ステアリングホイールは軽く回せ、ロックトゥロックは3回転で、レシオもちょうどいい。低速域でも重すぎず、直進時はピシッとしている。シフトレバーの位置も良く、素早く次のギアを選択できる。 コーナリングはニュートラル。正確な操縦性で、ドライバーの意志へ報いてくれる。現代のカーブやアスファルトでは、安定性や落ち着きを失うことはない。至って活発だ。 ショートホイールベースのザガート406を超えないとしても、この406 Sは、究極で最後の6気筒ブリストルだといっていい。404より美しいし、通常の406より活き活きとしている。SLJハケット社は、こんな素敵なクーペの次期オーナーを募集中らしい。 協力:SLJハケット社
ブリストル406(1958~1961年/英国仕様)のスペック
英国価格:4244ポンド(新車時)/29万5000ポンド(約5664万円/現在)以下 生産数:171 台(406合計) 全長:4286mm 全幅:1727mm 全高:1397mm 最高速度:201km/h(予想) 0-96km/h加速:-秒 燃費:9.2-10.6km/L CO2排出量:-g/km 車両重量:1041kg パワートレイン:直列6気筒2216cc 自然吸気OHV 使用燃料:ガソリン 最高出力:131ps/5750rpm 最大トルク:18.2kg-m/3000rpm トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)
マーティン・バックリー(執筆) ジョン・ブラッドショー(撮影) 中嶋健治(翻訳)