【春季愛知県大会】中京大中京が好継投で、中部大春日丘の勢いを止めて決勝進出
<春季愛知県高校野球大会:中京大中京2-1中部大春日丘>◇29日◇準決勝◇岡崎レッドダイヤモンド 【トーナメント表】春季愛知県大会 結果一覧 中部大春日丘は、前日の準々決勝の東邦戦で9回1死まで1対4とリードされていたところから、連続長打などで追いつき、逆転サヨナラ勝ちを果たした。この春は、1次ブロックで敗れて2位トーナメントに回って、そこから這い上がってきて県大会出場を果たしている。そして、県大会でも愛知、愛知産大三河に逆転するなど、苦しい戦いが続いた。豊橋中央には序盤リードで逃げ切ったが、準々決勝では土壇場の逆転で、勢いに乗っていると言っていいであろう。 中京大中京は、ここまでの4試合のうち、3試合で完封勝ちしている。失点は誠信戦の3点のみで、投手を中心とした守りの良さを示してきていると言っていいであろう。そんな両チームの戦いは、中京大中京の高橋 源一郎監督と、中部大春日丘の齊藤 真監督は、中京大では高橋監督が1年上の先輩という間柄でもある。 初回、ともに先頭打者が安打で出塁するなど、動きのある試合になっていくのかと思われたが、中京大中京の田中 太久哉投手(2年)、中部大春日丘の左腕・水野 拓海投手(2年)が、ともに走者を出しながらも抑えていっていた。 先制したのは中京大中京で3回。この日は1番で起用されている山田 頼旺外野手(3年)が、この日2本目の安打を中前に放つ。バントで進んだ後、2死二塁となったところで、4番に抜擢されていた仲 健太郎内野手(3年)が左中間を破る三塁打で二塁走者をかえした。このあたりは、組み換え打順がしっかりと機能したと言ってもいいであろう。 中部大春日丘は4回の2死一、二塁で打順が3巡目に入るところで、水野投手が左翼手へ、代わって角野 聖哉投手(3年)がマウンドに立った。中京大中京も、5回からは1番をつけた左腕・中井 遥次郎投手(3年)が登板して、リリーフ投手同士の投げ合いとなっていった。 中京大中京は6回には神谷 倖士朗内野手(3年)と中井投手自らの二塁打で1点を加える。試合の展開としては、大きな意味のある得点になるのかなという感じでもあった。 それでも、今大会では圧倒的な粘り強さを示している中部大春日丘。ことに、伝統的に終盤になって強さを示すチームである。7回には、下位からの打順だったが、先頭の7番・安藤 夏希外野手(2年)が左前打で出塁すると、バントで進め、9番・里見 駿太捕手(3年)が左前打でつないで一、三塁。そして、1番・堀 央征内野手(3年)の一塁ゴロの併殺崩れの間に、三塁走者がかえって1点差とした。 こうなってくると、中部大春日丘の勢いも出てくるが、中井投手は冷静に次打者を三振に取った。そして、8回から、中京大中京の髙橋監督は、注目の長身2年生・宮内 渉吾投手を送り出した。高橋監督としては、夏を見据えて投手陣の層はより熱くしていきたいところだが、前日の佐藤 爽楽投手(2年)、沖 悠人投手(3年)、そしてこの日の田中投手らが公式戦での実績を重ねていくことで、中井投手と宮内投手だけではなく、投手陣としての厚みが増してきたことを感じていたようだ。 結局、宮内投手が8回、9回を3人ずつで抑えて、中京大中京が1点差のリードを守り切った。 この日は、髙橋監督が打順もかなり入れ替えてきたが、いつものクリーンアップから、この日は1番となった山田は、「今は、あまり状態がよくない中で、1番打者として最初に打席に入ることになって、皆から頼んだぞと言われて、自分が打てばチームも盛り上がると思った」と、その打席でしっかりと安打を放って、得点にこそ結びつかなかったものの、チームを盛り上げるには十分であったと言えよう。 山田はこの大会3回戦から木製バットを使用している。「先生たちにも薦められて、木製バットを使用してみたのですが、木製の方がしなっていく感じがするし、コンパクトに振って行けば、ボクには合っているのかなと思ったので、そのまま使用しています」。この日は2安打を放ち「いいイメージで振れるようになってきた」と、夏へ向けて調子も上がっていきそうな感触も得ているようだ。 中部大春日丘は、ここまでの勢いがついに止まった。それでも、齊藤監督は、「大会を通じていい経験ができたと思う。選手たちも確実に自信になってきているのではないかと思う」と、この大会の収穫を語っていた。夏へ向けての課題としては、「もう1度、身体づくりをやっていくことからだと思っています。夏を乗り切る体力とパワーをつけて、技術的にはきっかけづくりというか、チャンスメークしていくワザをどう磨いていかれるかということになる」と、思いを語った。 2013年以来の東海大会進出はならなかったものの、昨夏に同様にベスト4進出。この春季大会は中部大春日丘としては大きな収穫があったと感じているようだった。