インバウンド新次元 訪日客数が過去最高を更新へ 課題は自然観光への誘導戦略
爆買いのような巨額の買い物から、最近は体験型の観光、コト消費に注目が移っている。費目別内訳においても、娯楽等サービス費は、19年7~9月期の4.1%から、24年同期比は4.7%に拡大しており、コト消費にシフトしている兆しはうかがえる。 また、コト消費の中心となるのは個人の旅行客だ。コロナ禍前は中国からの団体客が需要をけん引していた側面があるが、現在は個人の旅行客が需要のけん引役になりつつある。 JNTO企画総室の冨岡秀樹担当部長は、「以前は、日本に行ったことがないから行ってみよう。でも詳しいことは分からないから団体旅行のツアーに参加するという流れがあったが、最近は個人旅行が多くなっていると感じる」としたうえで、「個人の旅行客は、自分たちの関心にターゲットを絞って、どこで何を食べたいとか、どこの何が見たいとかをある程度決めてきているケースが多くなっていると思う」と語る。 ◇地方は自然観光が強み 政府は30年にインバウンド6000万人の目標を掲げているが、そこに至る過程として25年に達成を目指す短期目標を設定している。具体的には、①19年の水準(3188万人)のインバウンド、②1人当たり消費額が20万円、③1人当たりの地方部宿泊数が2泊。このうち、②の1人当たり消費額は23年にクリアし、①のインバウンドの19年水準超えは今年達成する見込みで、残るは③の地方部宿泊数だ。つまり、地方にいかにインバウンドを誘客できるかになる。 JNTOは23年、国・地域別に日本の地方エリアへの訪問意向がどの程度あるかを調査した。地方だけに行きたい人と、都市に加え地方にも行きたい人を合わせた地方への訪問意向は、東アジアでは8割以上、欧米では5~7割となった。つまり地方観光の需要は高い。 JNTO企画総室広報グループの中山友景氏は“その土地ならでは”がキーワードだと語る。地方への訪問意欲の高い観光客は、その土地ならではの飲食、風景、自分の国とは違う文化を求めているという。特に冬の雪景色や温泉は、人気が高いようだ。