奈良公園でK―POPアーティスト招いてコンサート費用2・7億円…補正予算案可決、山下知事「経費節減したい」
奈良公園(奈良市)で来年10月、K―POPアーティストを招いてコンサートを開催する計画について、16日の奈良県議会本会議で、県が提案した一般会計補正予算案が可決された。一部県議が、事業費を削除した予算案を提案したが否決された。交流事業は約2億7000万円の費用を見込んでおり、効果を疑問視する意見は根強く、山下知事は「経費を節減するようにしたい」と改めて開催する意向を示した。(山田珠琳、有留貴博) 交流事業は、日韓国交正常化60周年と、韓国・忠清南道との友好提携15年を控えたもの。事業費の内訳は会場設営や企画などの費用で、1988年に開催された「なら・シルクロード博」の収益金から国際交流目的で積み立てられていた基金約14億円が原資となる。 11日の委員会では、関連費用45万円を盛り込んだ補正予算案が可決されたが、「自民党・無所属の会」の県議から「費用対効果に疑問がある」と批判が出ていた。
16日の本会議では、自民党・無所属の会の県議5人が、イベントの費用対効果などの観点から事業費と債務負担行為を削除した修正案を提出した。 若林かずみ県議は「現段階の手法では県民の理解を得ることはできない。一過性に終わる可能性が高い事業を進めるのはいかがなものか。行財政改革を進めるのであればイベントは見直すべきだ」と述べた。 修正案は、議長と退席・不在の5県議をのぞく35人のうち、賛成が12人にとどまり否決された。その後、もともとの県の補正予算案は35人のうち22人が賛成し、原案通りに可決された。
議会閉会後、自民党・無所属の会のほか、日本維新の会の県議らが知事室を訪れ、山下知事に経費節減や事業規模の再検討を申し入れた。 山下知事は臨時の記者会見を開き、「日韓の友好親善や県のPR、経済効果にもつながる」と開催の意義を強調。人気のK―POPアーティストに対応できる舞台の設営や、どこからでも入りやすい奈良公園の警備に多額の費用がかかると説明した。また、大勢の来場者を想定し、会場に屋外を選んだとした。 奈良公園の鹿や芝生への影響を問われると「ゼロとは言い切れないが、それほど影響はないと認識している」と述べた。
修正案を提案した1人の永田恒県議は「予算の圧縮など、議会の場を通じて、県民の代弁者としてしっかりチェック機能を果たしていきたい」と話した。 県議会は16日、計33議案を可決、同意するなどして閉会した。