箱根火山の防災マップ、どんな災害が想定されている?
神奈川県箱根町では、箱根火山の活動が活発になった時に備えて、火山防災マップを公表しています。大涌谷、早雲山、湯ノ花沢(芦之湯)で約2000年前に起こった噴火と同じ規模の水蒸気爆発が起こった場合に、どのくらいの範囲にどのような影響があるかを予測しています。どのような災害を想定しているのか、見てみましょう。
交通機関に危険を及ぼす「降灰」
まずは「降灰」です。防災マップでは、水蒸気爆発が起こったときに降り積もる火山灰の厚さを示しています。風下側に多く積もりますが、中心地から半径2キロの地点で1センチの降灰を予想。半径1キロでは10センチの灰が積もる可能性があるとしています。命には関わりませんが、呼吸や目に影響があるほか、スリップや視界不良などにより、自動車を中心とした交通機関への危険が予想されます。
火山灰を含む高温の「火砕サージ」
次に「火砕サージ」です。「火砕サージ」というのは、火山灰を含んだ高温の流れのことです。時速60キロ以上の速度で進みます。火砕サージが発生してから逃げるのでは間に合いません。巻き込まれると人命を落としたり、火災を引き起こす可能性があります。マップでは赤く塗りつぶされている範囲で、火砕サージが到達する可能性があるとしています。観光スポットとして親しまれている箱根ロープウェイの大涌谷駅もこの範囲の中です。
天井にも穴が空く「噴石」
水蒸気爆発が起こったときに石が飛んでくる「噴石」の予想範囲は、黄色と赤色の線で表現されています。直径数センチから数10センチの大きさの石が落下してきます。火口から約700mの範囲(内側の赤い線)で、噴石の影響を受ける可能性が高いとしています。また、爆発力が大きいと1.5kmの範囲(外側の黄色い線)まで噴石が落下することがあると注意を呼びかけています。コンクリートの建物でも天井に穴が空く場合があります。
熱い水が流れる「熱泥流」
そして、「泥流」です。泥流には、火口から熱い水が噴き出して渓流を流れる「熱泥流」と、火山灰や岩石などがたまった土砂が流れてくる「二次泥流(土石流)」があります。マップでは、「熱泥流」がピンク色、「二次泥流」が紫色の矢印で描かれています。特に雨によって引き起こされる「二次泥流」は、樹木などを巻き込みながら、大きな破壊力をもった流れとなることがあります。