日本版DBS法案審議へ 女性が証言…中学時代の教師から性被害「被害なくなるよう」訴え
自らの経験が“性被害だったかもしれない”。 石田さんが気づいたのは、15年以上たった37歳のときでした。この頃、社会勉強のためにと、裁判を傍聴していたという石田さん。たまたま傍聴したのが、児童養護施設に通う職員による性加害事件の裁判でした。 石田郁子さん(46) 「職員と少女の年齢と関係性と、職員の言い分『恋愛だった』、何かその辺がすごく自分の状況と似ていると思って」 この裁判をきっかけに法律を調べ、専門家に相談し、徐々に、教師との関係が恋愛ではなく、性被害だったと気づきました。 刑事事件としての時効は過ぎてしまっていたため、民事訴訟を起こした石田さん。損害賠償請求は棄却されましたが、被害の内容は事実と認められました。 判決が確定したことを受け、札幌市の教育委員会は2021年1月、加害者の教師を免職処分にしました。 ◇ こうした性被害をなくすため、国会で来週にも審議が始まるのが、「こども性暴力防止法案」(日本版DBS)。性犯罪歴のある人は10年または20年、学校や幼稚園・保育所などで、こどもと接する職業に就けなくする仕組みが含まれています。塾やスイミングスクールなどは対象外ですが、盛り込まれた内容を実施すれば国から「認定」を受けられます。 法整備を前に、被害防止に積極的に取り組む現場もあります。
茨城県つくば市にある学習塾。教室だけでなく、自習室にも24時間録画のカメラを設置。さらに、パーティションは大人の目線よりも低くし、中が透けて見える素材を使用しています。DBSの制度が始まったら、積極的に認定を受けたいといいます。 いくがくゼミナール すめらぎ代表 「全てに優先されるのは子どもの安全ですから」 塾に通う高校生 「本当にありがたいことで、勉強に集中できて良いことだなと」 ◇ 被害によって体の不調が生じ、PTSDの診断を受けたという石田さんですが、ここ数年は、子どもの性被害をなくすための活動を積極的に行っています。 石田郁子さん(46) 「せっかく政府がそういう画期的な制度を作ってくれるんだったら、少しでもそういう被害がなくなるようになってほしい」 性加害を行った教師でも警察に通報されずに犯罪歴にはならなかった場合、塾や家庭教師などには再就職してしまう懸念があり、石田さんは「それを防ぐ仕組みが必要だ」などと訴えています。