英国債をゴールドマンやアムンディが選好、新予算は規律維持との見方
(ブルームバーグ): ゴールドマン・サックス・グループやアムンディなど、金融各社の間で英国債への選好が広がっている。スターマー新政権が景気対策を優先して財政を脅かすことはないという自信の表れだ。
アムンディは英国債を購入するためユーロ圏債のエクスポージャーを引き下げた。ゴールドマンはリーブス財務相が今月30日に予算案を初めて発表する前の英国債購入を顧客に推奨した。ブラックロックは英国債の投資判断を「中立」から「オーバーウエート」に引き上げ、リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)やアビバ・インベスターズなどのファンドもエクスポージャーを増やしている。
英国債への投資は、リーブス財務相が公共サービスの改善に充てる資金を確保しつつ220億ポンド(約4兆2800億円)に上る財政赤字の穴埋めに成功するとの見方からだ。市場には2022年のトラス政権が発表した「ミニ予算」で引き起こされた混乱の傷跡がまだ残り、当時から国の債務は増え続けている。
メディオラヌム・インターナショナル・ファンズの債券責任者、ダニエル・ラフニー氏は、「リーブス氏は財政規律が保たれているというある種の印象を維持したいと考えるだろう」と指摘。同氏は英国債をオーバーウエートとしている。
イングランド銀行(英中央銀行)が利下げペースの加速を余儀なくされるとの見方も、英国債への強気を後押しする。16日に発表された英インフレ率は大きく低下し、利下げ加速への期待は高まった。
欧州最大の資産運用会社であるアムンディのマルチアセット投資ソリューションズ責任者、ジョン・オトゥーレ氏は「英国はインフレ鈍化と財政規律の恩恵を受けるはずだ」との見解を示した。
英国債はここ1カ月、さえない値動きを続けている。9月半ば以降に英10年債利回りは30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り上昇し、ドイツ債や米国債に対する上乗せ利回りは1年ぶりの高水準付近にある。