上野千鶴子に「結婚しないのか」と言い続けた父親は、70歳を過ぎてやっと娘のキャリアを認めた
■「親が老いても子どもの頃のことを許せない」と悩まなくていい ただ、それは人格が変わったから許せるようになったのであって、その許しには「あの親がここまで弱ったのか」というやるせない思いが伴うもの。それならまだいいほうで、認知症になっても許せないままの人もいますから、親子関係って簡単ではないですね。 父との関係を通して、私は「親って反省しない生き物だな」とつくづく思いました。「ありがとう」は言っても、「ごめんなさい」はまず言わない。認知症になっても言わないと思いますよ。だって過去を覚えていないもの(笑)。 今回は父についてさんざん愚痴りましたが、まあでも、こうやって思い出話をするのも供養かなと思います。 『マイナーノートで』にはこうした、めったに他人に言わないようなことをたくさんつづりました。次作はどうでしょう、自分が要介護になったらまた何か書きたくなるかもしれません。介護される側が書いたものってないですから、『要介護のベッドから』なんてエッセイもいいかもしれませんね。 ---------- 上野 千鶴子(うえの・ちづこ) 社会学者 1948年富山県生まれ。京都大学大学院修了、社会学博士。東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門学校、短大、大学、大学院、社会人教育などの高等教育機関で40年間、教育と研究に従事。女性学・ジェンダー研究のパイオニア。 ----------
社会学者 上野 千鶴子