空き家活用、中学生が提案 龍郷町の2校で「住教育」 町内に190軒
空き家問題などについて意見を共有する「住教育」のワークショップが2日、鹿児島県龍郷町の龍南中と龍北中の2校であった。生徒たちが地域の空き家を有効活用するアイデアを出し合い、龍郷町の活気あふれる将来像を思い描きながら解決策を探った。 住教育では、国が推進する「住生活基本計画」に基づき、安心できる住生活の実現や空き家の利活用促進などを目指す。 ワークショップは、地域の空き家の現状について子どもたちが知り、考える機会をつくろうと、龍郷町地域おこし協力隊の竹内ひとみさん(25)が企画。竹内さんによると、現在、町内の空き家は町が把握しているだけで約190軒。このうち約20軒は倒壊の恐れなどがある危険な状態だという。 この日は一般社団法人住教育推進機構の住教育インストラクター宇治野みゆきさん(49)と、一般社団法人全国古民家再生協会鹿児島第一支部の西浩隆支部長(63)が講師を務めた。生徒たちは住教育推進機構が発行する「住教育カードゲーム」を使って学習した。 龍南中学校(碇山信行校長、生徒135人)では、3年生45人を対象にワークショップを実施。生徒らは5~6人の班に分かれ、 それぞれ3枚のカードに示された住まいや空き家に関する質問について考えた。 質問は▽空き家を生かす方法は▽周りに空き家が増えるとどうなる▽廃校となる学校の建物はどうなる─の三つ。生徒らは用意された模造紙に考えを書いた付箋を張り、意見やアイデアを交わした。 最後は班ごとに取りまとめた意見を発表。「生徒が企画運営して授業の一環として空き家をリフォームする」「まずは奄美を知ってもらうための発信」「自然を壊さない程度に発展させ、住んでいる人も観光客も過ごしやすい町にしたい」と解決策や地域の将来像を共有した。 ワークショップに参加した生徒は「他の人の意見も知れて面白かった。空き家の周りをきれいにしたりリフォームを手伝ったりしてみたい。子どもたちが始めたら、大人や町全体に活動が広がるのでは」と話した。 竹内さんは「いろんな人と考えを共有しわくわくしながら問題解決できたら。学んだことを個々の課題とも結び付けて深めてほしい」と期待した。
奄美の南海日日新聞