史上初の女性棋士誕生なるか!?西山朋佳女流三冠の棋士編入試験の展望はいかに
西山朋佳女流三冠の棋士編入試験五番勝負が9月から始まっている。史上初の女性棋士(女流棋士とは異なる)が掛かっており話題になっている。 【写真を見る】 棋士編入試験はアマチュアや女流棋士がプロ公式戦で規定の成績(10勝5敗以上など)を満たすと受験できる。直近で四段になった棋士5人と対戦し、勝ち越せば四段(フリークラス入り)となれるものだ。西山は7月の公式戦で勝って基準を満たして申請し、9月から月1局ずつ行っていく。 西山は福間香奈女流五冠とともに、現在の女流棋界で二強時代を築いている。女流棋士になる前は奨励会員で、三段リーグでも好成績を収めて、女性棋士に最も近付いた。2019年度後期の第66回三段リーグでは14勝4敗としたが、順位上位の服部慎一郎三段、谷合廣紀三段も14勝をあげたため、順位の差で次点になってしまった。三段リーグは18局行うが、近年の人数だと基本的には13勝の順位上位から14勝が四段昇段ラインで、14勝をあげて届かなかった例は少なく、不運だったと言える。 現行のシステムになってから、棋士編入試験を受けたのは西山が5人目で、過去の星取りは以下の通り。 今泉健司五段 ○○●○ 折田翔吾五段 ○●○○ 福間香奈女流五冠 ●●● 小山怜央四段 ○○●○ 合格の3人はいずれも最終戦を前に決めている。もつれ込むようだと精神的な重圧も大きくなるため、最終戦を前に決めたいというのが受験者としての気持ちだろう。 西山は第1局で高橋佑二郎四段相手に難解な終盤戦を制して白星スタート。後手番での勝利は大きい。 第2局は山川泰煕四段と。中飛車から積極的に動いたが、山川の丁寧な指し回しの前に着実に差を広げられて完敗となった。 第3局は俊英の上野裕寿四段だ。三段時代に勝ち上がっていた新人王戦で、四段になった直後に決勝三番勝負を戦って優勝。非公式戦のABEMAトーナメントやSUNTORY将棋オールスターでも結果を出しており、今回の試験官5人では一番の強敵と目されている。 第4局は宮嶋健太四段で、こちらもSUNTORYオールスターで結果を出している。岐阜県の出身で、藤井聡太竜王・名人とは幼馴染だ。 第5局は柵木幹太四段。次点2回でフリークラス入りしている。三段リーグでは西山に5戦全勝。相性も悪く、先述したようにプレッシャーも大きくなるため、西山としては最終戦にもつれ込むのは避けたいところだ。 今回の試験官はいずれも居飛車党で、戦型は西山がどこへ飛車を振るかで決まるだろう。 女性棋士へはあらためての三番勝負となった。第3局は11月で、第5局へもつれ込めば決着は来年1月となるが、果たして快挙はなるだろうか。 文=渡部壮大
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