8歳で初めて曲を作った“ミイナ・オカベ”の魅力 世界中のどこにでも届くメロウな歌声
日本にルーツを持ち、コペンハーゲンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、ミイナ・オカベ。日本でもファンが増えている。 AERA2024年12月16日号より。 【写真】コペンハーゲンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、ミイナ・オカベさん * * * ミイナ・オカベの名前を聞いたことがない人でも、昨年10~12月に放送されたフジテレビ系ドラマ「ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~」の主題歌《Flashback feat. Daichi Yamamoto》は耳にしたことがあるかもしれない。他にもTBS系アニメ「花野井くんと恋の病」のエンディングテーマ曲にも彼女の《Every Second Japanese version》が選ばれている。軽やかな、しかし少しメロウな歌声に惹かれる人は多く、今年3月の第38回「日本ゴールドディスク大賞」では洋楽部門の二つの賞を受賞。今夏は「サマーソニック2024」にも出演し、日本のファンを増やした。 ■8歳で初めての作曲 オカベは2000年生まれで父がデンマーク人、母が日本人。父方には音楽家が多く、祖母はクラシック音楽の歌手だった。英国ロンドンで生まれ、その後は米国ニューヨーク、フィリピンのマニラ、母国のコペンハーゲンと移動しながら暮らした。 「人でも文化でもいろいろなことに興味を持ち、よく喋る子どもでした。もちろん歌うのも大好き。8歳のクリスマスに父と祖父の家に向かっていた時、自分で作ったクリスマスソングを歌っていたのが初めての作曲の記憶です。父に『それを覚えておいたら将来稼げるよ』と言われ、iPodに録音したことを覚えています。ちなみにトナカイの歌でしたね(笑)」 15歳でコペンハーゲンの高校に入ったが、当時はまだデンマーク語があまり得意ではなく(母語は英語)、周りに知り合いがいないこともあってシャイな性格になったという。それでも音楽が好きなことは変わらず、楽曲を作って歌うことで難しい思春期も乗り越えてきた。 高校を卒業後はカフェで働きながら音楽作りを続けた。子どもの頃にピアノは習ったがギターは独学だという。そして21年に最初のアルバム「Better Days」を発表した。 「このアルバムが出て自分がプロのミュージシャンだという自覚が出てきたけれど、実は今でも飛行機に乗る時に書く職業欄にそう書いていいか迷うことがあるんです」とはにかむ。だが、ネットを通じて広がった歌が広く支持を受けるにつれて、世界が広がってきた。