【裁判詳報2日目】北海道の“スナックママ遺体なき殺人”被告の男、声を荒げ制止される場面も
北海道・十勝の足寄町で、知人の飲食店経営・延本真弓さん(66)を殺害した罪に問われている志渡典吉被告(59)の2日目の裁判が、2024年12月10日、釧路地裁で開かれました。 前日に引き続き、検察側の被告人質問が行われ、犯行現場となった延本さんの自宅での殺害状況を問いただしました。 しかし志渡被告は、車を借りるため延本さんの自宅を訪れ、燃料代の借金を断られたうえ、町外への出稼ぎの話をすると不機嫌になり、先に延本さんが枕元にあった護身用のハンマーを振り回し頭に当たったと証言。 延本さんに「謝れ」と言ったが応じなかったため、ビンタしたと話しました。 その後の腕枕をしていた状況からハンマーを取り上げ馬乗りになって、頭を押さえながら何度も殴ったり首を絞めた詳細な状況を聞かれると「覚えていない」などとあいまいな証言を繰り返す志渡被告。 取り調べの時の供述調書と食い違う証言に、検察が詳細な供述内容や再現写真を何度も示しながら質問すると、「この質問で皆さんにわかるんですか?」「違うじゃないか。でっち上げじゃないか」などと声を荒げ、裁判長から「落ち着いて。深呼吸しましょう」と注意される場面も見られました。 さらに、動かなくなった延本さんの頭にラップフィルムを巻いた再現写真についても、「写真のようにちゃんと巻けなかったと言ってる」と怒り出し、「よく検察をやってるな。上司を呼べ」などと激高。 山林に遺体を遺棄した理由についても、早く見つけてくれると思ったが遺族には申し訳ないという趣旨の話をしました。 すると、検察官から「申し訳ないと思う人が、財布から金やクレジットカードを盗み、パチンコや買い物しますか?1か月も遺体が見つからなかったのは何故?」などと問われると「知るかよ。警察は何やってるんだ」と不合理な反論を繰り返しました。 裁判は12月11日、検察側の求刑が行われ、12月13日に判決が言い渡される予定で刑の重さが焦点です。 ◆検察側の主張 2023年11月10日午前11時半ごろ、スナックを経営する延本真弓さん(66)の自宅寝室で、延本さんの頭をハンマーで殴ったうえ、首を手で絞めて殺害。 延本さんの車で遺体を約35キロ離れた足寄町内の山林に遺棄。 帰りの道中に延本さんの財布から現金やクレジットカードなどを盗み、車を延本さん宅に戻しパチンコに興じる。 同年11月11日、延本さんの家族が連絡が取れないと警察に相談。 同年11月13日、盗んだキャッシュカードで現金を引き出そうとするが取引停止中で引き出せず。 盗んだクレジットカードを使い、ドラッグストアでせき止め薬など6点をだまし取る。 同年12月18日、警察の事情聴取に志渡被告が自白。 遺体を遺棄した山林に案内し、延本さんの血が付いたベッドの敷パッドを発見され逮捕。 その後、周辺の川などから左足の骨の一部と爪を発見し、延本さんと確認。 ◆弁護側の主張 公訴事実は争わない。遺体が見つからない中、志渡被告が供述しないとわからない事もあった。責任能力は争わないが精神状態が犯行の動機や経緯に影響していないのか。