アルティスの債務問題、ぜい弱なCLO市場に混乱もたらす恐れ
(ブルームバーグ): レバレッジドファイナンス市場の一角、ローン担保証券(CLO)に大混乱をもたらす恐れがあるのが、アルティス・フランスの債務問題だ。
レバレッジドローン最大級の買い手であるCLOは、ジャンク(投機的格付け)級の中でも最もリスクの高い債務について保有制限を設けている。そのため、アルティスの格付けが1段階引き下げられ「CCC」になれば、CLOは組み込んだ同社の債務を投げ売りすると考えられる。
アルティス・フランスは、資産家パトリック・ドライ氏率いる通信コングロマリットを構成する3部門の一つ。
同社はグループ全体の汚職疑惑を巡る予備的な捜査に直面する一方で、持続不可能な様相を強めている多額の債務の削減に向け時間との闘いを強いられている。先週には、同社の債務圧縮支援に向けた「割引取引」に債権者は参加する必要があるとの見通しを示した。
欧州CLOの9割
アルティスの資本構造の大きさ故に、格下げとなればCLO市場に広範な影響を及ぼす恐れがある。
アルティスは約240億ユーロ(約3兆9400億円)の負債を抱えるが、通信グループ全体の負債は600億ドル(約9兆1000億円)近くに膨らんでいる。低金利に後押しされ、数年間にわたって積極的な事業買収を進めた結果だ。
シティグループのアナリスト、チャールズ・ケレット、リジン・ワン両氏はリポートで、「欧州CLOの9割がアルティスに対しエクスポージャーがあり、この問題は市場全体に影響を与えるだろう」と指摘した。
アルティスにコメントを求めたが、すぐに返答は得られなかった。ムーディーズ・レーティングスとS&Pグローバル・レーティングはコメントを控えた。
2023年の厳しい時期を経て回復の兆しを見せ始めたばかりのCLOにとっては悪いニュースだ。市場への打撃が広がれば、企業の合併・買収(M&A)関連業務に対する銀行の意欲にも影響が出る恐れがある。
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