ドラゴンズ新監督に"切り札"立浪和義が残してしまった5つの宿題
"ミスター・ドラゴンズ"が竜を率いた3年間が終わる。退任が決まると、どうしても別れを惜しんで優しい声が多くなりがちだが、長年の低迷を続ける中日ドラゴンズが復活するためにも、立浪和義監督時代の3年間をきちんと総括しておく必要がある。浮き彫りになった課題の中から5つを挙げる。(敬称略) 【動画】何度見ても最高!チームを救った細川のレーザービームがこちら!【2分17秒~】
(1)日替わりオーダーが続いた
残念ながら、立浪監督のチーム作りは失敗したと言わざるを得ない。監督1年目が最下位、上昇への足がかりをつかもうとした2年目も最下位と、球団史上初の2年連続最下位となった。3年目の2024年も5位以下が確定した。その事実から明らかである。 象徴的なことは、打順である。固定できなかったとも言えるが、あえて固定しなかったとも言える。立浪監督独自の勝負勘による起用なのだろうが、スタメンは毎試合のように替わり、打順どころか守備位置まで変更され続けた。 8月末、久しぶりにサードの守備に入った石川昂弥が「球場に来て知った。驚いた」と話していたことが印象的である。選手たちにも戸惑いはあっただろう。打線は"線"にならなかった。「守り勝つ野球」を標榜しながらも送りバントをあまり使わず、「打ち勝つ野球」をめざした矛盾も目立った。
(2)二遊間は決まらなかった
監督就任以来、最重要課題としてめざした"今後10年はドラゴンズを支える二遊間"の確立もできなかった。特に立浪監督自らが守ったショート、1年目の開幕スタメンだった京田陽太はトレードで移籍、2年目の開幕スタメンだった龍空も2試合目にスタメン落ち、3年目のクリスチャン・ロドリゲスもしばらくしてから2軍落ちと、さまよい続けた。 ようやくシーズン後半に、村松開人がレギュラーとなりつつあるが、他球団を戦力外になったベテラン選手のスタメン起用も目立つなど、悩ましい未解決テーマとなった。
(3)正捕手は誰になるのか
二遊間の固定は"センターライン"の強化につながる。「センター岡林勇希」は立浪監督による大きな実りなのだが、要(かなめ)となる正捕手は決まらなかった。実は二遊間の問題以上に深刻なのは、キャッチャーである。 2024年シーズンは、主に、木下拓哉、宇佐見真吾、そして加藤匠馬の3人がスタメンマスクをかぶったが、全員が30代である。次世代の"正捕手"候補として期待される石橋康太を、腰を据えて育てることもなく、シーズンを終えようとしている。今後、ドラフト指名においても、即戦力レベルの捕手の獲得は重要な課題となるだろう。