券面が"ゴールド色"なだけ?「ゴールドカード保有者6割が年収400万円」時代のクレカ選びの新常識
年会費無料の「ゴールドカード」も登場
NTTドコモが実施した調査が一部で話題となっている。クレジットカードのいわゆるゴールドカードを保有している人の約63%は、個人年収400万円未満だった、という内容だ。「ゴールドカードは、“大衆化”の時代へ」という見出しも付いている。 【ステータス感が…】ゴールドカード保有者の個人年収「200万円未満」は、何パーセント? ここでいうゴールドカードは、NTTドコモが発行する『dカード GOLD』だけでなく、他社発行も含まれている。また、調査の中には、「保有者数トップのゴールドカードはdカード GOLD」という項目がしっかりと入っていることから、調査自体が宣伝の一環として実施されたことが窺われる。それらを踏まえた上でも、一般的なゴールドカードのイメージと違って、「ユーザーの年収はそんなに高くない」という結果が、関心を呼んだということだろう。 ◆カード会社自らが招いた「ゴールドカード」の地盤沈下 但し、実は似たようなアンケート調査は、ここ数年で他にも実施されており、今回のNTTドコモの内容と、それほど大きな違いはない。したがって、クレジットカード業界にある程度明るい人には、違和感はないはずだ。 そもそも、ゴールドカードの大衆化は、カード会社が先導したものといえる。’10年代の中頃、まず若者向けゴールドカードが流行った。ユーザーを20代に限定したものが多く、審査基準を緩くし、年会費も既存のゴールドカードから大幅に引き下げた。20代のうちからユーザーとして取り込んでおこうという、カード会社の戦略だった。 その後、登場したのが「格安ゴールドカード」である。若者向けよりもさらに年会費を引き下げたものも多く、中には、年会費が税込みで2000円を切るカードもあった。この格安ゴールドカードは、カード会社の前向きな戦略というよりも、新たな収益源を求めた結果、生まれたという側面が強い。 ◆券面がゴールドになっただけ…「ゴールドカード」の価値は? というのも、その頃は、すでに『楽天カード』が猛威を振るい始めていたから。「年会費無料・ポイント還元率1%」という、当時としては破格のスペックに、既存のカード会社は太刀打ちできなかったのだ。そこで、対抗策として、ゴールドカードのステータス感、プレミアム感を切り売りして、年会費で収益を確保しようとしたのが格安ゴールドカードというわけだ。