【高校野球】全国約30人のみの名字・小上防がV打「今大会は自分の大会なのかな」…東海大菅生が関東4強
◆高校野球春季関東大会▽準々決勝 東海大菅生3-2昌平(20日・上毛新聞敷島) 東海大菅生(東京2位)が昌平(埼玉2位)に競り勝ち、4強に進出した。3番の小上防登生(こじょうぼう・とうい)外野手(2年)が初回に先制打を放ち、勝利に貢献した。 強気だった。前のめりだった。0-0で迎えた初回1死二塁の好機。小上防は舌なめずりして打席に向かった。 「前回の試合(山梨学院戦)も初回にチャンスが回ってきて、結果が出たので。『今大会は自分の大会なのかな』ぐらいの気持ちでいきました」 高めのストレートをシャープに振り抜くと、打球は中前に弾んだ。二塁走者が本塁に生還。先制打だ。さらに攻撃の手を緩めず、二盗を成功。5番・関山凌駈(2年)の右前適時打でホームにかえった。初回の2点でチームは試合の主導権を握り、最後は逃げ切った。 石川県出身。「小上防」の名字は全国に約30人しかいないとされる。同じ名字の人は「親戚しかいません」と笑う。両親は輪島市生まれ。元日は祖母・博子さんの実家を訪問中、被災した。「結構揺れて、家は全壊です。『津波が来るかもしれないよ』という情報もあって、高台に避難しました」。その輪島から、博子さんがわざわざ群馬まで応援に駆けつけてくれた。「おばあちゃんに、いいところを見せられたかな」と胸を張った。 オンリーワンの名字も「覚えてもらえるので」と気に入っている。次は準決勝だ。「対戦するのは全国上位のチームになってくるので、そこで打ってこそ本物かなと思っています。結果を出して、さらに注目されればいいかな」と気合いをにじませた。 自分の活躍で笑顔になってくれる人がいる。だから次戦も、全力でバットを振り抜く。(加藤 弘士)
報知新聞社