関西9大学の学生らが共同で新聞発行、報道サークル「UNN関西学生報道連盟」/大阪
大阪市淀川区にある雑居ビルの一室からもれ聞こえてくる「この見出しがええんちゃうん?」「この写真使うか」と言った声。中に入ると、若い男女が大きなパソコン画面に向かって熱心に作業をしながらやりとりを繰り返している。よく見ると、画面に映し出されているのは新聞紙面。なるほど、ここは関西にある9大学の新聞部などが集まって共同で新聞を作る「UNN関西学生報道連盟」の編集室だ。
9大学 約80人が取材・編集・営業・紙面制作
同連盟は、関西の9大学(京都大学、大阪大学、神戸大学、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学、神戸女学院大学、京都女子大学)の新聞部などで構成された報道サークルで、現在は約80人が所属している。今年で創設から23年目を迎え、取材・執筆などを行う報道局や写真局、紙面制作を行う制作局や営業を行う広告局などが設置されるなど、まるで新聞社のようなスタイルだ。 各大学とも題字は違うが、タブロイド版8ページの新聞を共同で発行。1面と8面は各大学の独自ネタを掲載し「現役学生 農業分野で起業」「入試システム変わらずか」といった大きな見出しで学内の動きを伝えている。2面から7面は同連盟が所属する大学が関係するサッカー、野球、バレーといったスポーツや街ネタなどが掲載される共通紙面となっている。卒業後には全国紙などのマスコミ関係へ就職する人も多く、4月にはNHK大阪放送局の住田功一アナウンサー(神戸大学出身)らを講師に迎え「メディアの現場で働くとは」と題した講演会も開催している。
行動範囲は自分の大学だけじゃなく「関西」
「連盟という形のため、行動範囲が大学やその周辺だけでなく『関西』なのでいろんな出会いがあって楽しい」と語るのは、同連盟代表で関西大学3回生の榎本剛さん(20)。「自分たちで広告営業を行い運営費をまかなっていくことなどは、社会に出ても絶対役立つ経験に思う」とも話す。 同編集室を訪ねた日は、週に1回各大学共同で発行しているフリーペーパーを制作し各自が持ち寄ったネタをパソコンで紙面編集。街ネタの写真ひとつを選ぶことにもこだわりをみせ、納得のいくものを作り上げるまで議論を重ねている。365日、だれかがこの編集室にいるように当番も組まれているという。 学生らからは「キャンパスの授業だけでは味わえないものを得ている」「自分は工学部だけど、こういう活動をしてるからこそ出会える現場もあってうれしい」「他大学の学生同士が集まって意見しあうのは刺激があっていい」などの声が聞かれる。榎本さんは「歴史を積み重ねてきた団体なので、これからも発展させていきたい」と話していた。