中江有里さん、阪神打線の組み替えに「生きるために、変化を恐れない」 そんなときにオススメの本は…
読書好きで知られる俳優の中江有里さんが、日々のできごとや過去の思い出を、1冊の本とともにふり返る連載エッセイ。プロ野球は開幕したけど、昨年日本一の阪神タイガースは波に乗れない日々が続きます。ある日、思い切った打線の組み替えを目にした中江さんは、福岡伸一さんの『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)を思い起こし、生き残るためには変化は避けられないのだと、決意を新たにしました。 【写真】満開の花をバックにした中江有里さん
ペナントレースが始まって半月ほどが過ぎた現在、私は「かみ合う」ことについて考えている。 獣が食いつき合って戦うことじゃない。 上下の歯やふたつの歯車がぴったりあわさる、こっちの方だ。 どうも阪神タイガースは投打がかみ合っていないのではないか? 去年とほぼ同じ布陣の阪神。投手陣は踏ん張っているが、打線は低調。4月第2週は1試合平均で1.5点しか取れていない。 (不思議とホームラン数はセ・リーグで突出している) つい去年の今頃の状態と比べてしまい、阪神が負けると落ち込んでしまう。 遅い桜が散った4月中旬。「かみ合わない」ことに悶々としながら、対戦カードが一巡する首位中日戦を迎えた。 第1戦、終盤に2点差を追いついたがあと1点が遠く2-2で引き分け。第2戦、序盤に2点を先制したが6回に4点取られて2-5で逆転負け。貧打にあえぐ今シーズンを象徴するような戦いが敵地・名古屋で続く。 旗色が悪かった第3戦のスタメンが発表された。 1番が木浪! 2番に梅野、 3番近本! 4番大山じゃなく佐藤、8番は中野! 阪神は昨年からほぼ不動だったスタメンを解体した! このびっくり打線の結果、1-2で阪神は勝った。 先発の才木投手のピッチングは冴えわたった。思い切った打線の入れ替えも当たり、いつもと違う2番と8番で起用された梅野隆太郎捕手、中野拓夢選手がタイムリーヒットを放った。引き分けを挟んだ連敗は3で止まった。 久々の勝利を喜びつつ、先のことを思う。 いくら投手が相手を抑えても、味方が打たなければ勝てない。 去年と同じ打線では打てないのか。同じでは勝てないのか。