【毎日書評】その悲しい気持ちはどこからくるの?本質を知り抜け出す術を持とう
「幸せになれ」というプレッシャー
いま生きている世界は、「あなたは幸せになるべきだ」「あなたには幸せになる価値がある」というようなメッセージを際限なく送ってくる。著者はそう指摘しています。 たしかにSNSにアップされている人たちのプロフィールなどをチェックしてみれば、誰もが“最高に幸せな自分”を演出するために完璧な振る舞いをしていることがわかります。 そうしたものに触れていると、無意識のうちに“自分は幸せに満ちた毎日を送る完璧な勝者ではない”と感じ、ブルーな気持ちになってしまうかもしれません。けれども実際には、そんなふうに考えるのは間違っている──。 そう主張する著者は、自著『知ることについての本(The Book of Knowing)』(未翻訳)内の一節を紹介しています。 現実をありのままに受け入れられない人は、頭がめちゃくちゃに混乱してしまうでしょう。現実が公平・公正であるかどうかについて、世界は気にもかけないからです。 もし、世界が気にかけていたなら、善良な人に悪いことが降りかかるなんて事態は起こらないはずです。(15ページより) また、同じような文脈で、著者は「~になる価値がある/~するのにふさわしい」というようなことばを信じていないのだとか。 喪失感を抱いたり、トラウマになるような経験をしたりした後に悲しくなるのは、その人が「そのように感じるのにふさわしい」からではありません。ただ単に悲しい気持ちになるのです。悲しみは何かの罰として生じるのではないのですから。(17ページより) これはとても説得力のある考え方ではないでしょうか? 私たちは悲しくなったとき、そこになんらかの“意味”や“理由”を求めたくなるものです。しかしその一方、世界で起きている出来事に対して悲しみを感じたり、ブルーな気持ちになったりもします。 そう考えていくと、本当に大切なのは「そのような感情から抜け出す方法を知ること」なのだということがわかるでしょう。(14ページより) 科学的根拠に基づいた情報を得られれば、「恥ずかしい」と言う誤ったイメージをなくせるだろうと著者は述べています。 そうなることができれば、診断やサポートを求める際にも、必要以上の恥ずかしさを感じずに済むはず。心を穏やかな状態にするためにも、ブルーな気持ちを抱えている方は本書を参考にしてみるべきかもしれません。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: CCCメディアハウス
印南敦史