今後クマが出ても猟師は“駆除拒否”できる…老ハンター怒りのワケ「我々はクマの駆除をしたくないと言ってるんじゃない」
〈「ジジイを舐めている」怒りの老ハンターが語る、猟友会が“駆除辞退”した町で起きていること〈ハンターは“駆除拒否”へ〉〉 から続く 【画像】札幌の町中に出没した158キロのオス 「そういう意味では、ヒグマを撃つ技術のあるハンターは今や“絶滅危惧種”です。その技術をどう継承していくかも含めて、今、ここで本気で対策しないと本当に手遅れになる。それなのにどうしてこういう判決が出るのか、理解に苦しみます」 北海道猟友会砂川支部奈井江部会で部会長を務めるハンターの山岸辰人(72)が言う「判決」とは、今回、北海道猟友会がヒグマ駆除の原則拒否方針を打ち出す直接のきっかけとなった「砂川事件」の控訴審判決を指す。 ハンターたちはいったい何に怒っているのだろうか。(全2回の2回目/ 前編 から続く) ◆ ◆ ◆ 問題となった「事件」が起きたのは、2018年8月18日朝のこと。 砂川市ではその少し前からヒグマの出没が相次いでいたが、この日、山間部で1頭のヒグマの目撃情報が寄せられた。北海道猟友会砂川支部支部長の池上治男と猟友会所属のハンターである橋本(仮名)は、砂川市からの駆除要請を受けて、市職員1名と警察官1名と共に出動した。
市職員は「駆除してほしい」と要請
現場は山間部を通る市道脇の斜面で、その草むらの中にまだ子グマと思われる小さなクマがいることが確認できた。子グマを撃つことを渋る池上に対して、市職員は「住民の不安を取り除くために駆除してほしい。発砲許可も出ている」と駆除を要請した。 これを承諾した池上は、クマが隠れた斜面の下に回り込んだ。8mほどの斜面の上を市道が通り、その向こうには民家や建物があったため、同行した警察官と市職員は住民に家の中に隠れているよう注意を呼びかけた後、自分たちは斜面の上の物置の陰に隠れた。同行したハンターの橋本もその近辺にいたようだ。 それらを確認した後、池上はクマが立ち上がった瞬間を見計らって発砲、これを駆除したのである。ここまでは何の問題もなかったが、その2カ月後、事態は急変する。