【和田毅】交流戦の秘話激白 19年V決定戦は「僕の勝ちはどうでも」ヤクルト石川との関係性は
<ソフトバンク和田毅コラム:軌跡> ソフトバンク和田毅投手(43)が日刊スポーツで足跡をつづるコラム「軌跡」で交流戦の秘話を明かしました。16日にチームの全日程が終了した交流戦で歴代2位の通算27勝を記録している左腕が、初登板や優勝決定戦などの節目のマウンドについて激白。あの球界最年長投手との関係性は? セ本拠地で最も好きだった球場とその理由は? リーグ戦再開に向けての意気込みも語りました。【取材・構成=只松憲】 ◇ ◇ ◇ ホークスの交流戦は16日に全日程を終えました。僕自身今年は勝利することができませんでしたが、今回は僕の交流戦の軌跡についてお話ししたいと思います。 交流戦が始まった05年の5月8日、早稲田大学時代の聖地だった神宮で初登板しました。勝ったのは覚えてるんですけど、実は内容までは覚えていません。セ・リーグのチームと対戦するのはオールスターしか経験がなく、真剣勝負は初めてだったのでとにかく不思議な感覚でした。大学時代は打席に立っていたので、打席に立つことに懐かしさを感じながら投げていましたね。初安打も記録しましたし、打てるか打てないかは関係なバッティングは嫌いではないです。 同年の6月11日はヤクルト石川雅規さん(以下、雅さん)と投げ合いました。実はこの日が今でも唯一のマッチアップです。完投勝利することができましたが、雅さんは調子が悪かったと聞いています。 雅さんからはシーズン中もメールをもらったり、自分からもメールを送ったりします。内容は「最近何か変えたことはあるんですか?」とか「今はどんなトレーニングをしてるんですか?」などですね。ここで雅さんとのエピソードを1つ紹介します。 <!-nextpage-> 僕はいま練習でピラティスを取り入れています。昨年、神宮近くの室内で練習をしている時、わざわざ雅さんが来てくださいました。会話の中で「最近やられていることはありますか?」と伺ったら「俺はピラティスやってるよ」と言われたんです。偶然にも同じトレーニングをしていて「自分がやっていることは間違ってないんだな」と思いました。答え合わせというか、雅さんと同じ取り組みをしていたことにすごく安心感が芽生えました。方向性は間違ってないなと。今ではお互いにセ・パの最年長投手です。雅さんに負けじと頑張りたいと思います。 ホークスの前回の交流戦優勝は19年でした。6月23日、巨人戦。勝った方が優勝決定という大一番で先発しました。とてもよく覚えています。僕は左肩痛から復帰勝利を狙っていた状況でした。その前に優勝が決まって楽な気持ちで投げられるかなって思っていたら、大事な登板になっちゃったんです。もう僕の勝ちとかもうどうでもいいレベルです。とりあえず自分の勝ちではなく、3回で降りてもいいからチームが勝てるピッチングをしないといけないと思って投げました。 試合は初回に4点の援護をもらいました。「この4点をなんとか守らないといけない」と思って一生懸命に腕を振りました。結果は5回1失点で当時651日ぶりの勝利投手。ですが自分の事より交流戦優勝が大事でした。勝利インタビューで心境を聞かれた時は、なんと答えればいいのか分かりませんでした。とりあえず試合前から僕の復帰勝利っていう雰囲気じゃなかったんですよね(笑い) <!-nextpage-> 交流戦は普段と違う球場に行きます。どこの球場も好きなのですが、特に僕はマツダスタジアムの雰囲気が大好きです。初めて足を踏み入れた時、屋外球場に天然芝、ファンとの距離が近いグラウンドがものすごくいいなと思いました。BBQをしながら観戦できる座席もありますし、良い雰囲気の中でファンの方には野球を楽しんで欲しいなと思います。パ・リーグではエスコンフィールドが好きです。野球観戦だけではなく、パーク化されている球場はとてもいいなと思います。 21日からはリーグ戦が再開します。経験上、交流戦明けからオールスターまでは1つのヤマ場だと思います。僕は言われた登板日で貢献できるように投げていきたいし、まずはそこですね。チームの雰囲気、状態は決して悪くないです。その流れに自分もしっかり乗っていけるようにしたいです。オールスターまでチームに貢献できるように戦っていきたいと思いますので、引き続きご声援をよろしくお願いします。(福岡ソフトバンクホークス投手) ◆今季の和田 4試合に登板し、2勝1敗、防御率3・48。開幕は指のマメなどで出遅れ、5月6日の日本ハム戦で1軍初登板。同22日の楽天戦では7回3安打無失点で1勝目を手にした。交流戦は6月2日の広島戦で5回無失点の粘投。勝ち投手の権利を持って降板したが、救援陣が同点に追いつかれて白星ならず。直近の登板は同9日のDeNA戦で4回途中4失点。