子どもが潜在能力を発揮するために最も大切な“習慣化“。自分を守るための嘘をつかせず、親は前向きな行動を促す
「そうだね」は気持ちを込めて
これまで何度も「そうだね」と言って子どもの意見を認めてあげることが大事だと述べました。この「そうだね」という言葉を掛けることは、育脳にとって、とてもよい習慣です。 ただし、大事なことがあります。それは、子どもに「そうだね」というときは、気持ちを込めて最もこころに伝わる言い方をするということです。子どもの脳に入る言葉を使うときは、「そうだね、凄いね、君」というように、気持ちのこもった言い方に正さないといけません。 これは感謝する場合でも同じです。上司から「よくやってくれた」と褒められたら、やる気が全然違ってくるでしょう。逆に、だめ出しをされたら力が出なくなって、いいアイディアも浮かびません。言葉には力がありますから、相手をその気にさせようとするときは気持ちのこもった言い方をしなければいけないのです。 また、自己保存の本能に抵触するような言葉を使うことは絶対にやめてください。失敗しても叱ったりせず、自分を守ろうとする自己保存の本能を克服しようとチャレンジした場合は、結果としてうまくいかなくても「よくやったね」「頑張ったね」と褒めてあげてください。 失敗することは悪いことではありません。失敗も一つの経験です。それを認めてあげることが大事です。 林成之 日本大学名誉教授。脳科学をスポーツに応用し、北京オリンピック競泳日本代表の北島康介選手らの金メダル獲得に貢献。脳低温療法を開発し国際学会の会長も務めるなど、脳蘇生治療の第一人者としても知られる。著書に『<勝負脳>の鍛え方』(講談社現代新書)、『脳に悪い7つの習慣』(幻冬舎)などがある。
林成之