【毎日書評】メンタル不調を言い訳にしない。大谷翔平から学ぶ「逆境を乗り越える力」
緊張するからこそ、勝ったときにおもしろい
大谷翔平の魅力のひとつは、真剣でありながらも楽しそうに野球をしていること。負ければ悔しいはずですし、チームが思うように勝てないときにはかなりのストレスがかかるに違いありませんが、それでもにこやかな表情をたたえ、礼儀正しさを失わない。だからこそ、多くの人に愛されるのでしょう。 しかし、そんな大谷も、ストレスを感じているときには苦しい夢をよく見るようです。もちろん野球の夢も含まれており、いちばん多いのは、ライト前にヒットを打ったにもかかわらず、水のなかを走っているような感じで足が前に進まず、一塁でアウトになってしまうというものなのだとか。 シーズン中、思うような結果が出ていない時に見るといいますから、大谷が感じているストレスの大きさが容易に想像できます。にもかかわらず、こうも言っています。 「いい結果が出ていない時には精神的なストレスを感じています。でも野球でストレスを感じるって、いいところだと思うんですよ。毎日毎日、結果が出て、良かった悪かったと思える職業ってあんまりないでしょ。そこが楽しいところだし、キツイところでもある」(147ページより) また日本ハム時代には、勝負に関してこんな発言もしているようです。 「勝てる勝負に勝っても嬉しくないですし、どっちが勝つかわからない、むしろ負けるかもしれないくらいの勝負のほうが、勝ったときの嬉しさは大きいのかなと思うんです。だから、緊張しないとおもしろくないかなって思います」(148ページより) たしかに、絶対に勝てる勝負に勝ったところで、あまりおもしろくないかもしれません。とはいっても、負けるのはもっとおもしろくないはず。つまり大谷は、勝つか負けるか、文字どおり“ヒリヒリするような勝負”をしたいと考えているのでしょう。 ギリギリの戦いでこそ力を発揮できるし、そんな戦いを通してこそ、野球選手としてのみならず、人としてもさらに成長できるというわけです。これもまた、あらゆる職業にあてはまりそうです。(146ページより) 大谷が教えてくれるのは「努力の大切さ」であり、そのなかには野球に限らず、人が生きていくうえで忘れるべきでないこともたくさんあると著者はいいます。だからこそ、本書のなかから「生きていく強さ」を学び取るべきなのかもしれません。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: ぱる出版
印南敦史