花巻東・佐々木麟太郎が涙 悔やんだのは初回の打席 選抜高校野球
第94回選抜高校野球大会は第5日の23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、昨秋の東北大会王者で4年ぶり4回目出場の花巻東(岩手)は2年連続8回目出場の市和歌山に4―5で破れ、4年ぶりの初戦突破はならなかった。高校通算56本塁打の注目スラッガー、花巻東の佐々木麟太郎(2年)は、無安打で涙をのんだ。 【佐々木麟太郎と米田天翼が対戦 花巻東vs市和歌山】 ◇ 幼いころから夢見ていた舞台で、バットは空を切り続けた。信条は「チームのために力を尽くす」。だからこそ、一回の好機に流れを作れなかったことが悔やまれた。 一回無死一、二塁。事前の映像から、高めに甘く入った直球を捉えようと意識していたが、「予想以上に高めに来て手が出てしまった」。140キロ台の高めの直球にバットを振らされ、空振り三振。「あそこで打てていれば、ゲーム展開は変わっていた」。中軸として責任を感じた。 183センチ、117キロの恵まれた体格からの豪快なスイングで、1年秋には高校通算50本塁打に到達したスラッガーだ。昨秋の公式戦ではチーム最多の6本塁打、23打点の活躍でセンバツ出場に大きく貢献。昨年12月に両肩を手術して2月下旬までバットを振れない時期が続いたが、復帰後は今大会前まで6本塁打と復調ぶりを見せていた。ただ、この日は相手の球威のある速球に対応できなかった。 九回、味方の反撃で追い上げる中、死球を受けて出塁し、後続の中前打で必死に三塁に滑り込むと思わずガッツポーズが出た。自分が生還できれば同点の場面。最後の打者の飛球で願いを込めて走ったが、届かなかった。 米大リーグに羽ばたいた菊池雄星、大谷翔平ら尊敬する先輩の背中を追い、自身も大きな注目を浴びながら踏んだ初の聖地で無安打に終わった。「ふがいない」。悔し涙とともにそう繰り返す責任感が、この実直な強打者をもっと強くする。【円谷美晶】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。